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映画・演劇のレビュー

『1408号室』

2009-03-02 20:15:36 | 映画
 スティーブン・キングの短編の映画化であるこの作品はよくあるホラーなのに、ギリギリのところで下品にはならずまとまった。話自体はありふれている。映画自体もかなり危ないところまで、行っている。もう少し壊れてしまうとつまらない映画に成り下がる。かと言って、もう少し手前で止めていたなら、もの足りない映画になる。エンタメとアートの境界線上であやうくバランスをとっている。

 B級ホラー映画はもうごまんとあるから、もうそんなもの今更見たいとは思わない。(既にもう何百本も見たし)A級ホラーなんて、なんかその存在自体がなんんだか間違ってる気がする。フリードキンの『エクソシスト』とかキューブリックの『シャイニング』といったところがそのジャンルに入るのだろうか?だが、今作はそういうものとは違う。話自体はB級テイストに満ちている。そこをきちんと抑えた上でどれだけそれをきちんと見せるのかに腐心しているのが誠実でいい。クライマックスからラストへの怒濤の展開も上手くはないが悪くはない。

 ジョン・キューザックがとても抑えた演技でこの作品をしっかり支えている。ほとんど彼の一人芝居だから彼に魅力がなくては成立しない。SFXに頼るのではなく芝居の力で見せたのがこの映画の成功理由だ。密室でのひとり芝居という難しい題材を与えられて彼はよく耐えた。傑作と呼ぶのはおこがましいが見てよかったと思う。監督のミカエル・ハフストロームは初めて聞く名前だが、一応記憶しておこう。

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