こういうエンタメ芝居がずっと見たかった。だけど、それはなかなか叶わない夢だった。ストーリーのおもしろさと、作り手の熱いハートが上手く合致し、その上で確かな技術を備えた芝居を作ることは、出来そうでなかなか出来ない。上手い役者を集めて、優秀なスタッフを集めたからといって出来るものではない。一番大事のことは、その作品を通して観客に何を伝えるか、である。そして、それをきちんと観客の胸に手渡すことができる . . . 本文を読む
期待したほどにはおもしろくない。この作者は『はるがいったら』1作で自分の持てる力のすべてを出し切ってしまったのかもしれない。それくらいにあの作品は素晴らしかった。ただ、あんなふうな作品はそうそう何作もは書けないだろう。力をセーブして書く、だなんて新人に出来るはずはないし、そんなことは無意味だ。遣り尽くした後に残るのは何だろう。今回の作品はその残滓でしかない。そういう意味では『アシンメトリー』もそ . . . 本文を読む
このお話は明らかにおかしい。リアリティーがない。だいたい日本の警察はあんなにも簡単に発砲出来ないはずだ。しかも、総理暗殺事件の謎にはまるで迫らない。この映画にとってそこはただのきっかけでしかない。でも、それってかなり大事な部分ではないか。これって大事件ではないか、と思うのですが、いいんですか?
だいたい彼は誰にはめられたのか、まるで描かれない。まぁ、彼の立場だけから世界を描こうとするのがこの . . . 本文を読む
普通に出版される小説がこんなレベルでいいのだろうか。読んでいて唖然とさせられた。表現の稚拙さだけでも、大概だが、ここまで安直な展開をさせていいのだろうか。読みながら偶然があまりに多くて、冷めてしまった。現実はこんなにも都合よく展開するわけがないだろ、と思う。
普通の読者はこのリアリティーのなさにがっかりせずに、これは小説だから、なんて思えるのだろうか。僕には無理。後半の辻褄合わせだけの展開に . . . 本文を読む
一昨年の夏、この作品の初演を見たときの衝撃は忘れることは出来ない。なんと六〇年代の労働争議なんかを今頃芝居として上演することに何の意味があるというのだろうか、と不思議に思いながら見ていた。だが、気がつけば、その作品世界の中に取り込まれていた。そして、ラスト、95年1月17日の朝、その一言を聞いた瞬間、全く無防備であったから、それだけで落涙してしまった。思いもしないラストだった。冷静に考えたなら6 . . . 本文を読む
新撰組は今けっこう大変みたいだ。座付き作家を失い、方向性が定まらないまま作り続ける様々なタイプの作品は、バラエティーに富んでいて、彼らはそれを楽しみながら作っているようにも見えるが(そこは心強いところだ、とも言えるけど)この状態がいつまで続くのか、と思うと、ファンである僕たち観客の方が不安になる。もちろん彼らも明確にならない方向性を持て余している。
今回の作品は、今までで一番苦しい出来になっ . . . 本文を読む
中国人留学生の女の子が、初めてアルバイトをする。彼女は22歳。日本人の男性と結婚した姉を頼って日本に来て、今では大学生。でも厳格な姉(15歳も年が離れているから半分母のような存在)の監督下にあり、少し息苦しい。
バイト先は純日本風の高級料理店である「すきやき屋」。昔姉がバイトしていた由緒正しい職場。もちろん姉の紹介で働く。着物を着て、お客を迎える。慣れないことばかりで戸惑う。そんな日々の中で . . . 本文を読む