これは『失われた町』の続編である。三崎亜記はよほどこの設定が気に入ったらしい。彼は現実の世界を舞台にしない。見た目はよく似てるけど彼が書く世界は、いつもなんだか微妙にねじれている。ここに描かれる町は、世界から消えた町を含む。ぽっかりと穴が開いたように、ある部分が失われた。ありえないことが、ここでは起きた。だれもが、そんなことを現実とは思いたくはない。だが、現実にそれは起きたのだ。仕方ないことだ。 . . . 本文を読む
最後まで読み終えて、結局、何の説明もしなかったんだな、と気付く。きっとしないだろうな、と薄々気が付いていたが、思った通りでほっとした。スキー合宿のところでそんな予感はしたけど、その潔さに、痺れる。これでなくては、ダメなのだ。SFではないのだから、理由なんかいらない。事実だけがそこにあればよい。
孝子は12年後の世界からやってきて、もう一度15,16歳という時間をやり直す。高校1年の最初から始 . . . 本文を読む