食を巡る小文集なのだが、これは川本さんの亡き妻への追想文集でもある。彼女のことを綴った『いまも、君を想う』の続編であり姉妹編にもなっている。「食を語ることで、そこにひそかに亡き妻を、昔のことを、記憶にとどめたい」というようなことが帯に書かれてあった。
奥さんを亡くして、ひとりぼっちになった川本さんが、食をテーマにして、日々の生活の中で感じたことを書きとめながら、そこにどうしても妻の思い出を重ねてしまう。そんな川本さんの心情が綴られる。だから、これはとても個人的なエッセイ集なのだ。
このささやかな文を読みながら、毎日のほんちょっとした出来事のひとつひとつが、こんなにも胸に沁みてくることの不思議を感じる。食べることと、生きることは密接につながっている。そんな当然のことを改めて感じさせられる。特別なものとしてのうなぎの話から始まって、なつかしの脱脂粉乳、母親のオムライスと続き、最後には、毎日ただ飲む水の話まで、身近なものばかりが、テーマとなっている。でも、そのひとつひとつが、実に納得のいく選択になってある。
この本を読んでいて、猫めし(猫まんま)を食べたくなった。炊き立てのあったかご飯にかつお節をかけて、しょうゆで味付けするだけ。そんなものが、とてもおいしい。たまごかけや、細かく刻まれた漬物(川本さんはそうするのが好き)、キンピラゴボウにポテトサラダ。出し巻き、チャーハン、冷奴に、おから。そんななんでもないものへの愛おしさが、ここには詰まっている。
奥さんを亡くして、ひとりぼっちになった川本さんが、食をテーマにして、日々の生活の中で感じたことを書きとめながら、そこにどうしても妻の思い出を重ねてしまう。そんな川本さんの心情が綴られる。だから、これはとても個人的なエッセイ集なのだ。
このささやかな文を読みながら、毎日のほんちょっとした出来事のひとつひとつが、こんなにも胸に沁みてくることの不思議を感じる。食べることと、生きることは密接につながっている。そんな当然のことを改めて感じさせられる。特別なものとしてのうなぎの話から始まって、なつかしの脱脂粉乳、母親のオムライスと続き、最後には、毎日ただ飲む水の話まで、身近なものばかりが、テーマとなっている。でも、そのひとつひとつが、実に納得のいく選択になってある。
この本を読んでいて、猫めし(猫まんま)を食べたくなった。炊き立てのあったかご飯にかつお節をかけて、しょうゆで味付けするだけ。そんなものが、とてもおいしい。たまごかけや、細かく刻まれた漬物(川本さんはそうするのが好き)、キンピラゴボウにポテトサラダ。出し巻き、チャーハン、冷奴に、おから。そんななんでもないものへの愛おしさが、ここには詰まっている。