なんと石井岳龍監督の新作は文芸映画。室生犀星原作で、自身をモデルにした老作家と、金魚の恋の物語という荒唐無稽さ。こんなファンタジーを映画にして、何が何だか、である。誇り高い「文芸もの」なんていうものに興味なんかないわい、という姿勢で映画作りしてきた彼が何をとち狂ったか。不思議なもの見たさで、劇場に行く。
なんだぁ、この軽やかさは。買ってきた金魚(二階堂ふみ)が人間 . . . 本文を読む
最初は気持ち悪くて読むのを辞めようかと思った。内容が、ではなく、文体が、である。おかまの男の子が「あたし」を連発する。でも、それは内面の声で表向きはふつうの男として振る舞うから、その落差もなんか鼻に付く。でも、明らか確信犯的行為なので、それでもそんな文体で描こうとする作家の思い入れがあるのだろうと、我慢する。原田マハはこういうタッチの小説を書かない。ある種の覚悟の元の行為なのだから . . . 本文を読む