『こころの湯』や『胡同のひまわり』のチャン・ヤン監督の新作だ。やはり、彼らしく詰めが甘くて、優しいばかりの凡作である。だけど、彼だから許す。こういうキツイ話を本気で撮ったりしたら、逃げ場がなくて、苦しいばかりだ。だから、適当に抜け道を作るほうがいい。甘いよな、と顔が綻ぶくらいでいい。
今回もしんどい話だ。養老院を舞台にして、死にかけの老人たちが、身を寄せ合い、生き . . . 本文を読む
この小さな本が提示した不思議はただの不思議ではなく、もしかしたら現代の黙示録なのかもしれない。どうでもいいようなことの集積が、実はとんでもないことの始まりであった、かもしれないし、もう始まりなんかではなく、終わってた、なんてことであるかもしれない。1999年に書かれた『魔術師』という短編の孕む不穏な空気に圧倒された。淡々と語られる不思議なできごと。それらがひとつに重なる時、答えが出 . . . 本文を読む