主人公の少女から目が離せない。というか、カメラがそこから離れないし。彼女のどんな表情も見逃すまいと構えている。監督のユン・ガウンは彼女のドキュメンタリーを撮る覚悟だ。冒頭のグランドでドッジボールをするシーン。他の子供なんかどうでもいい。彼女の顔のアップがずっと捉えられたまま。だんだん表情が曇ってくる。すべてが見える。彼女が何も言わなくても、その顔を見つめるだけで、すべてがわかる。彼 . . . 本文を読む
戦場になった村。みんな逃げ出してもう誰も住んでいない。今はとても静かだ。だけど、すぐそこで殺し合いが行われている。男はそんなところで黙々と木箱を作っている。みかんを入れるための箱だと、やがてわかる。冒頭のシーンからこの映画は傑作だとわかる。作業場で、電気のこぎりで木を切る姿を捉える。その真剣な表情を見ているだけで、緊張が伝わってくるからだ。やがて、もうひとりの男が登場する。彼はみか . . . 本文を読む
30歳を目前にした4人の男女の憂鬱。大学時代の同級生で仲良しだった4人組は今も変わらず、つるんでいる。男3人女1人というバランスのよさ(それとも、わるさ)。恋人にはならない。友情で結ばれている。でも、実は危うい。美術系の大学を卒業し、絵を描くことの周辺で仕事したいと思うけど、なかなか上手くはいかない。一応、デザイナーや画家をしている。でも、満足はしてない。
四章か . . . 本文を読む
この夏、パリの劇場でロードショーされていた。公開時凄く見たかったのに、あまりヒットせず、すぐに公開が終了し見逃していたから、ここで見ようか、とも思ったけど、いくらなんでもわざわざヨーロッパまで観光旅行にきて、そこで日本映画を見ることはないだろ、と思いやめた。
だけど、パリの映画館は凄いよ。北野武特集もしていたし、成瀬巳喜男もやっていたし、ダスティン・ホフマンの『卒 . . . 本文を読む
小学生の時に見て衝撃的だったオリジナルの『猿の惑星』との出会いから、もう40数年が経つ。確かあれは6年生の冬だった。たまたま、つけていたTVで見た。見てしまった、とでも言おうか。まだ、映画に目覚める前で、それを見たのはほんとうにただの偶然のことだった。
年末の「年忘れ映画大会」みたいな番組で深夜に放送されていたのだ。少年があのラストシーンと、何の予備知識もなく出遭 . . . 本文を読む
大衆演劇というのはイメージではわかるけど、芝居小屋で実際にちゃんと見たことはない。(映画やTVなんかで、その一部を見たくらいか)だから、こういう形で疑似体験させてもらうのはうれしい。そしてそれが神原芝居の原点をたどるものにもなる。神原さんがずっとやり続けていることって、こういうことがそのルーツにあるのだと改めて理解できる。もちろん、そんなことはずっと前からわかっていたことだけど、こ . . . 本文を読む
「本格小型時代劇」というなんだか不思議なネーミングが、ちょっと可愛くていい。小劇場できちんとしたセットを組んで、衣装もカツラも込みで、時代劇を作るなんて、なかなかないことだろう。(こんな体験、僕は初めて!) それなのに、肩肘張るのではなく、ちょっとキッチュで(とくに、カツラがかわいい)ホンワカした芝居、というのがいい。
しかも、これは吉弥さんと銀瓶さんによる落語ヴ . . . 本文を読む