先日『@サクラ』を読んでいるからこちらもさっそく読むことにした。もうネタバレだけど、そんなことは承知の上である。というか、既にサクラを読んでいるということを前提にして読むことが作者の今回の仕掛けであり、それが楽しい。これはそんな楽しみ方も可能な(それを踏まえての)小説なのである。
だけどこの順番でよかった。こちらは『@サクラ』に比べると緩い。スマホを使った作品というパッケージングがより全面に出る . . . 本文を読む
『佐々木イン、マイマイン』の内山拓也監督の本格商業映画デビュー作。ということだけど、こんな商業映画はない。若い内山監督はわかりやすい描き方はしない。もちろん娯楽映画ではない。ハードなドラマで情け容赦ない。磯村勇斗が主演してスターが出ているから一般劇場でロードショーされているけど、これは安易な妥協がないから一般受けはしないだろう。キツい映画でなんだかわからないという感想が続出しても仕方ない。だけどこ . . . 本文を読む
『ノベンバー』のライナル・サイネット監督最新作ということで見ることにした。予告編を見た時は「なんなんだこれは、」と唖然としたけど、本編も予想以上に無茶苦茶な映画だった。そう言えば『ノベンバー』もヘンテコな映画だったけど、あれはなんとかアート映画だったからまだ騙されていた。だけど今回はおバカな青春映画で、カンフーアクションである。エンタメのはず。なのに、これって何? 訳がわからん娯楽映画である。たぶ . . . 本文を読む
35歳、非正規の図書館員の女性が主人公。彼女の日々が綴られる。タイトルにある「ちやっけ」は犬の名前。髙森美由紀の新刊は移動図書館の話だが、利用者と司書の交流を描くハートウォーミングではない。いや体勢はそうなのだが、作品自体はそうなりきれていないのだ。そういうところが彼女の小説らしいところだ。いつもそうだが,安定が悪い、だから話になかなか乗り切れない。それは下手だから、で一蹴することも可能だけど、そ . . . 本文を読む
近未来の東京。高校生たちの日常の日々のスケッチを淡々と描く青春映画。これは一応SF映画ということになるのか。だけどここには未来っぽい描写は皆無だ。だからといってよくある青春映画のキラキラも皆無。もちろん高校生たちによる学園ドラマだけど漫画が原作だったり荒唐無稽なお話でもない。スターが出るアイドル映画でもない。無名の若い子たちが演じる。監督はこれが劇場用長編劇映画デビューとなる空音央。サンダンスイン . . . 本文を読む