習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『女子―ズ』

2014-07-27 20:48:54 | 映画
 だいたいこのアホなタイトルからして脱力する。三木聡監督が作ったならきっと笑える映画になったのではないか。だが、福田雄一だから、それなりの映画にしかならない。いつもそうだ。企画としてはかなり面白いのだが、そのアイディア以上のものを提示できないから、すぐに飽きる。

 パターンとしては『変態仮面』と同じである。ヒーローものの変化球でしかない。思いつきはそれなりに笑えるし、面白いものになりそうなのだが、いかんせんそれだけで、その先には至らない。映画は1時間半くらいの尺を持たさなくてはならない。TVなら20分程度でも可能だが。そのへんの計算が不十分だから、すぐに息切れしてしまう。

 5人の女の子たちはかわいいし、それぞれのキャラクターもうまく色分けできている。あとは「戦隊もの」の定番を踏まえて、そこにどれだけのアイディアを盛り込めるのか、である。だが、何一つ考えてない。女子が生きていく上で必要な事。そういうリアルの地平が描きこまれてないから、飽きる。

 ここにはドラマがない。バラエティ・ショーではないのだから、ちゃんと人間が描かれないことには、お話に引き込まれていかない。5人の生活や生き様をリアルに描くことで、「特撮もの」の枠踏みを脱するようなドラマをそこに描き込めたはずだ。そうでなくては、この映画を作る意味はない。思いつきを安易に映画として提示しても、それは時間とお金の無駄使いでしかない。別に映画だからと肩肘張れ、というのではない。せめて、映画であることの要件を満たすくらいの努力をしてくれ、というのだ。これでは、映画以前のものでしかない。


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