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映画・演劇のレビュー

『ノア 約束の舟』

2014-07-27 20:49:25 | 映画
期待したから、そのぶんがっかりも大きい。どうしてこんな中途半端な大作になったのか、娯楽映画が悪いとは言わないけど、この素材で、この監督がなんで、こんなファンタジーもどきを作るのか。莫大な制作費をペイするだけの観客動員を可能にするためなのか。もし、そうなら、ますますがっかりだ。これが妥協の産物だなんて思いたくはない。しかも、これでは娯楽活劇としての要件を満たしていない。『ブラックスワン』のダーレン・アロノフスキーである。もっと歪で骨のある映画を作るはずだった。なぜ、こんなことになったのか。

ラッセル・クロウのノアはもっと破滅的でわがままな父親でいい。(この映画のノアはそれはそれで最低だが)これはノアという男を史実に基づいて造形したのか。もしそうなら、つまらない。映画としての想像力をまるで刺激されない。お話を変える必要はない。それなら、この素材を選ばない。このお話を通して何を見せようとしたのか、である。

箱舟に乗せるのは人間ではなく動物たちで、世界は滅びる前に種を残すため、何が必要なのか。選ばれたものたちはなぜ、そんな選択がなされたか。彼らはどこに行くのか。いろんなことに対して、映画は納得のいく答えを提示できていない。聖書に興味がなくても、ドキドキさせられる映画を望む。

 歴史スペクタクル大作としてもまるで満足のいかない映画だから、劇場はがらがらだったのか。それとも、こういう企画は今の日本人にはまるで興味がないのか。アメリカでは大ヒットしたのかな? これでは本国でもきっと不評だったのではないか。

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