極彩色の映画『熱帯魚』、『ラブゴーゴー』で知られる台湾映画界のヒットメーカー(のはず、)チェン・ユーシュン監督がなんと16年ぶりに放つ新作である。これだけの長いブランクを吹き飛ばさんばかりの快作である。しかも、この内容なのになんと2時間半に及ぶ大作。ありえん。
それにしても、どうしてこんなにも長いブランクが出来たのだろうか。映画が作れなくなる原因なんかいろいろあるし、僕たちにはわからない事情があったはずだけど、まぁ、そんなことを言っても仕方ないから、これだけ待ったのだ。まずは、この新作を楽しもう。
最初から最後まで、もう延々バカ騒ぎをやり続ける。でも、楽しいから退屈しない。ヒロインのリン・メイシウはかわいいし、おバカ。彼女のかあちゃんはそれに輪をかけておバカ。
台南を舞台にして、有名料理人の娘が料理対決で台湾の頂点を目指す。なんか、こういうタイプの映画って、今までも何度も見た。香港映画の定番。でも、今回はチェン・ユーシュンだから、のんびりしていて、なんだかよくわからなくても楽しい。ストーリーは行き当たりばったり。寄り道だらけ。しかも、お話に深い意味なんかない。3人の料理の達人とか、3バカおたく(こいつらが実は大活躍!)トリオとか。2人組の取り立て屋とか。ヒロインだけでなく、登場するキャラがどいつもこいつも変なやつばかり。
何も考える必要はない。ただ楽しめばいい。いつものようにカラフルな映像も楽しい。視覚から楽しめるのがいい。要するにひたすら楽しいだけ。でも、それのどこが悪い、とばかりに、無節操にやりたい放題。さすがに少し疲れたけど、満足の1作だった。