『踊るアイラブユー』

なんで数ある映画の中でこんなものを見るのか、と言われそうだ。もっと見るべき映画はある。山盛りある。にもかかわらず、誰からも見向きもされないようなこういう映画に手を出す。つまらないことは見る前からわかっているのに、である。でも、なんだか、バカバカしいそうだし、疲れた体に優しそう、とか、なんとか。そんなこんなで、たまたま見てしまった。（このポスターもいかにも、って感じでしょ）

バカンスでの恋。イタリアの風光明美なリゾート地。海辺の出逢い。ひと夏の恋。別れ。そして、３年後。再びその思い出の場所を訪れる。彼女から教えられてそこに滞在していた姉と合流する。そこで紹介された姉の結婚相手は、なんと3年前に別れた元カレだった。今もまだ、彼女は彼のことが好き。さぁ、どうする。

こういう映画が劇場で公開されるなんてほとんど奇跡ではないか。なんともノーテンキなミュージカルである。バカンス、リゾート夏の恋。このいかにも、な設定、展開を８０年代の懐かしヒットソングを背景にしたミュージカルに仕立てた。

もうこんなの今時ＴＶでもやらないよ。Ｂ級映画の典型のような作品。そんなのをちゃんと劇場で公開した。当然、誰も見に来ない（はず）。なんとなく、怖いもの見たさで、見に行く。ちょっと疲れた頭にはこういうのもいいかも、なんて。（どんだけ、疲れているのか）

９７分。何も考えず笑って見ていられる。なんだか懐かしい。それは懐メロだけではなく、今時はやらないこういうお話を堂々と見せるからだ。この安っぽさを優しい気分で満喫すると楽しめるはず。わざわざ見に行くような映画ではないことは当然だし、『マンマミーア』ほどの大作ではないけど、許せる範囲の映画。でも、ないわぁ（と、自分に突っ込むのであった）。