習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『県庁おもてなし課』

2013-05-07 22:37:09 | 映画
何をしているのか、いまいちわからない。なんか毎日楽しそうにしているだけに見える。仕事のはずなのに。コンサルタントに丸投げして、自分たちはぼっとしているだけ。


なんだか毎日遊んでいるように見えるのだけど、おもてなし課って、あれで仕事って言えるのだろうか。実在する高知県の県庁の部署がモデルでそこの職員を描く映画なのだが、主人公の錦戸亮と堀北真希は毎日デートしているみたいで、うらやましい。高知の自然、美しい風景の中、車を走らせていろんな名所、旧跡といった観光地を巡ったり、船越栄一郎のコンサルタントのところに行って話を聴き、彼の指南を受けて、よし、頑張るぞ、とか言って、元気に役所に帰ってくる。

 なんだかいい気なものだ。「仕事がしたい!」とか言いながら、彼らの仕事の実態があまり見えてこない。それって、問題ではないか。まぁ、県庁の職員の仕事をリアルに見せても退屈なだけなのかもしれないけど、でも、もう少しリアルに見せてくれなくては、役所の人は仕事もせずに遊んでいるというような誤解を招くのではないか。なんて言いながら、実はこの映画を否定的に捉えているわけではない。

 それどころか、まるでそんなこと、ほんとは気にもしていないのだ。それどころか、とても面白く見た。毎日いい天気で気持ちがいい。風景が綺麗で、もうそれだけで満足させられるのだ。そんな中、主人公の2人が仕事と言いながら、なんだか毎日とても楽しそうにいつも一緒で、羨ましい。こんな可愛いアシスタントの女の子といつも一緒に2人で行動するなんていう仕事で、公務員で、遊んでいるようで、恋と仕事を両立して、いいなぁ、と思う。もうこの映画には、それしかない。のんびりして、幸せそうで。

 だから、そればかり書いている。ほんと、うらやましい。夢のような時間だ。主人公2人の恋の話もなんだか可愛いくていいけど、高良健吾の作家と関めぐみの血のつながらない妹との話なんかも、とても胸きゅんで、2人の恋の応援をしたくなる。離れ離れになっていた2人が再会し、彼が彼女にプロポーズするまでのお話。

 なんかこういう都合のいい話って、昔よく見た60年代の日活青春映画にたくさんあった気がする。『あすの花嫁』とか『青い山脈』や『草を刈る娘』とか、田舎を舞台にしたローカル映画。急には思い出せないけど。だから、この映画の本来のキャスティングは、もちろん浜田光夫と吉永小百合だ。高良健吾家と関めぐみの役は奮発して石原裕次郎と芦川いずみでどうだ。あの頃はこういう田舎を舞台にしてほのぼのとした映画がいっぱいあった。なんだか懐かしい。

 この映画の気持ちのよさはまさにあの感じなのだ。ノーテンキで、毎日が楽しくて、仕事も、恋も、同じように楽しい。家族ぐるみで仲良しで、一緒に晩ご飯食べて、なんか夢のようなお話なのである。職場の人たちもみんないい人ばかり。そして、嘘のようなハッピーエンド。気持ちのいい映画である。ぜひ、ヒットして欲しい。
 

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