今年劇場で見た新作日本映画は93本。その中からの10本だ。でも、10本から漏れた映画に愛着がある。『きみと波にのれたら』とか、『町田くんの世界』とか。どちらもとてもチャーミングな映画だからだ。自分の趣味で選んでいるのについついベスト作品と思うと、完成度重視で選んでしまうし、2019年を代表する映画、とか、今年を象徴するエポックとか考えないでもいいところも、考慮してしまうのかな。
岡田准一が凄い『ザ・ファブル』や快進撃を続ける白石和彌監督の今年のベスト作品『凪待ち』。今泉力哉『愛がなんだ」もよかったし、佐藤信介の超大作『キングダム』、月川翔『君は月夜に光輝く』それから坂本順治『半世界』。もう枚挙にいとまがない。中江裕司のドキュメンタリー『盆唄』。予想外のハラハラドキドキを見せてくれた『七つの会議』。挙げていけばもうキリがない。山崎貴の『アルキメデスの大戦』にも驚かされた。残念だった映画をあげるほうが簡単なくらいにどの映画も気合が入っていた。以下は、そんな中からの10本である。
1位 旅のおわり世界のはじまり 黒沢清
2位 天気の子 新海誠
3位 ウイーア-・リトル・ゾンビーズ 長久允
4位 蜜蜂と遠雷 石川慶
5位 楽園 瀬々敬久
6位 悪の華 井口昇
7位 火口のふたり 荒井晴彦
8位 長いお別れ 中野量太
9位 まく子 鶴岡慧子
10位 斬、 塚本晋也
まさか井口昇の映画をベストテンに入れる日が来るなんて夢にも思わなかった。ということはこのベストテンは驚きを重視している。3位なんてまさにそう。思いもしない映画がこんなにも刺激的で、こんな新人監督が突然登場するから面白い。でも1位はやはりさすがのベテラン。(今の時代、もう黒沢はベテランの域に入っている!)でも、今までと違う新鮮さでここにも驚きがあったから1位にした。2位も同じ。あのラストは凄い。今年唯一2回劇場で見た映画だ。