このバカバカしいタイトルには笑った。前回公演パンフで次回作が、このタイトルだと、知った時から、期待した。神原さんがどんなふうにこのふざけたタイトルから無限の翼を広げて、おかしな世界を見せてくださるのか、とても楽しみだったのだ。ちゃんとふざけて、その先に何を提示してくれるのか、そこが成否のポイントであろう。
昭和の終わり(1985年)を舞台にして、明治2年と、2つの時間を往還し、話は展開していく。冒頭部分が楽しい。10人の少年たち(演じるのは、ほとんど、おじさん以上の人たちだが)が、歌って踊る。彼ら少年探偵団が怪しいホテルの探検に出る。時間は夜中の2時。その時間、4階の窓から、女の人が白いステテコを旗のように振るという。廃墟と化した4階建ての運河沿いのホテル。少年たちの冒険が始まる。
そんなふうに期待したのに、話はこの後すぐに、明治2年のこの場所、伊勢佐木町の花街が、舞台になる。少年たちの冒険はどうなったのか? 平行して描かれるものと、期待したのに、もう芝居は現代には戻らない。そして、いつもの神原さんの芝居になる。遊郭を舞台にした男女の恋物語だ。このパターンで、いったいいくつの芝居を見ただろうか。これは神原さんの独壇場である。安心して見ていられる。
だが、最初のワクワクは損なわれる。いつもとは違う予感は、急速に萎んでいく。チラシにある黒マントの怪人(デカルコ・マリー)は、ちゃんと出てくるのだが、時空を越えての怪奇ロマンにはならない。彼の正体はただの怪しい外人でしかないし。ステテコはいた探偵(島上亨)は、出ない。まぁ、それはあのチラシから勝手にそんなふうに夢想しただけなのだが。
出来ることなら、そんなささいなことはどうでもいい、と言いたい。だが、僕にはそこがかなり大事な要素で、なんか、納得いかない。もちろん、一番大事なのは、「昭和の終わりと、明治の初め」という魅力的な2つの時間をつなぐことで、そこから立ち上がる思いがけない荒唐無稽な物語だ。だが、それも思ったようには展開しない。
そこから何を見せていこうとするのかを期待したのだが、出来上がった作品は、いつもながらの神原ワールドから、一歩も出ないもので、神原さんによる新たな挑戦を期待した向きには、これではちょっとがっかりな作品となってしまった。悔しい。
昭和の終わり(1985年)を舞台にして、明治2年と、2つの時間を往還し、話は展開していく。冒頭部分が楽しい。10人の少年たち(演じるのは、ほとんど、おじさん以上の人たちだが)が、歌って踊る。彼ら少年探偵団が怪しいホテルの探検に出る。時間は夜中の2時。その時間、4階の窓から、女の人が白いステテコを旗のように振るという。廃墟と化した4階建ての運河沿いのホテル。少年たちの冒険が始まる。
そんなふうに期待したのに、話はこの後すぐに、明治2年のこの場所、伊勢佐木町の花街が、舞台になる。少年たちの冒険はどうなったのか? 平行して描かれるものと、期待したのに、もう芝居は現代には戻らない。そして、いつもの神原さんの芝居になる。遊郭を舞台にした男女の恋物語だ。このパターンで、いったいいくつの芝居を見ただろうか。これは神原さんの独壇場である。安心して見ていられる。
だが、最初のワクワクは損なわれる。いつもとは違う予感は、急速に萎んでいく。チラシにある黒マントの怪人(デカルコ・マリー)は、ちゃんと出てくるのだが、時空を越えての怪奇ロマンにはならない。彼の正体はただの怪しい外人でしかないし。ステテコはいた探偵(島上亨)は、出ない。まぁ、それはあのチラシから勝手にそんなふうに夢想しただけなのだが。
出来ることなら、そんなささいなことはどうでもいい、と言いたい。だが、僕にはそこがかなり大事な要素で、なんか、納得いかない。もちろん、一番大事なのは、「昭和の終わりと、明治の初め」という魅力的な2つの時間をつなぐことで、そこから立ち上がる思いがけない荒唐無稽な物語だ。だが、それも思ったようには展開しない。
そこから何を見せていこうとするのかを期待したのだが、出来上がった作品は、いつもながらの神原ワールドから、一歩も出ないもので、神原さんによる新たな挑戦を期待した向きには、これではちょっとがっかりな作品となってしまった。悔しい。