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黒澤清監督の新作だ。5時間の大作である。一気に見るためには、まとまった時間が必要で、なかなか勇気が出なかったけど、お正月に、1日家にいる日があったので、思いきってレンタルしてきた。この作品は、5話からなる連作長編というスタイルを取る。ひとりの少女の死に向き合うこととなった4人のクラスメートの女の子たちと、その殺された少女の母親(小泉今日子)が主人公だ。
なんでもないようなシーンも、怖い。そんないつもの黒沢タッチにドキドキしながら見た。小学校にやって来た不審者に少女が殺されるまでのシーンが秀逸。そのプロローグの後、15年後に飛び、5つのエピソードが順に描かれていく。主人公は4人の女の子たちだ。彼女たちの15年後が描かれる4つのエピソードの後、殺された少女の母親によるエピソードが描かれる。そこで全ての謎が解き明かされる。ただ、この結末部分があまりに詰まらなさ過ぎて、そこまでの持続された緊張感が、無意味なものにさせられるのは残念だ。原作小説を改ざんすることは出来ない以上これは黒沢のせいではなく、湊かなえのせいである。だが、もう少し見せようもあったのではないか。小泉今日子と香川照之を持ってきたのだから、もう少しなんとか、出来なかったのか、と悔やまれる。
第1話が震えるくらいに怖かったし、蒼井優が素晴らしかっただけに、その後の展開を期待させた。相手役の、彼女が結婚することになる変態男を、森山未來が演じる。こいつがまた、気持ち悪い。少年時代のフランス人形盗難事件と、それから15年間彼女が大人になるのを待ち続ける異常さ。そんな変質者と敢えて結婚し、彼の言うままに生きる。それも彼女の贖罪なのか。彼女はあの時自分が死ななかったことをずっと引きずり、今も少女の体のまま生きてきた。(彼女は今も、生理がない!)そんな彼女を彼は受け入れる。そこが結婚のポイントだったのだろうか。でも、彼がフランス人形盗難事件の犯人だったとわかってなお拒絶しないのはやはり解せない。そんなこんなも含めてこの第1話は面白い。理不尽さえも作品の力にしている気がする。
それは小池栄子が主演した2話にも言える。彼女が教師として子どもたちを守ることで、贖罪をする、という話なのだが、彼女の行為が異常者とすれすれのところにあるのがいい。ナイフを持ってプールサイドに現れた変質者に冷静な対応で、接して、彼を撃退する。それは正義感からではない。それが、途中からやり過ぎだと非難されるのも、面白い。あの状況で、子どもたちを守った彼女を非難するバカな保護者たちの見当はずれな対応に怖さを感じる。充分あり得る。最初は賞賛し、状況が変わると批判する。そんな周囲に彼女はなんら反応しない。この2話の相手役、水橋研二の正しさがねじれていく様も面白い。
3話の変態男、加瀬亮もいい。だが、この熊女、安藤サクラの話から、最初の怖さが徐々に薄れて来る。続く4話の池脇千鶴の話に到ってはこの作品の流れを完全に壊している。しかも、この話から最後につながるのだが、これってなんだか無理やり終わらせるためだけの展開ではないか。彼女が偶然TVから流れる香川の声を聴いて15年前の犯人の声だと気付くだなんていう展開はあんまりだ。こんなことになるのだと知っていたなら、DVD3巻の1巻目だけを見て、それで終わりにした方がよかった。(でも、自分で全部を見なくてはこんなことになるなんて、わからないけど)
なんでもないようなシーンも、怖い。そんないつもの黒沢タッチにドキドキしながら見た。小学校にやって来た不審者に少女が殺されるまでのシーンが秀逸。そのプロローグの後、15年後に飛び、5つのエピソードが順に描かれていく。主人公は4人の女の子たちだ。彼女たちの15年後が描かれる4つのエピソードの後、殺された少女の母親によるエピソードが描かれる。そこで全ての謎が解き明かされる。ただ、この結末部分があまりに詰まらなさ過ぎて、そこまでの持続された緊張感が、無意味なものにさせられるのは残念だ。原作小説を改ざんすることは出来ない以上これは黒沢のせいではなく、湊かなえのせいである。だが、もう少し見せようもあったのではないか。小泉今日子と香川照之を持ってきたのだから、もう少しなんとか、出来なかったのか、と悔やまれる。
第1話が震えるくらいに怖かったし、蒼井優が素晴らしかっただけに、その後の展開を期待させた。相手役の、彼女が結婚することになる変態男を、森山未來が演じる。こいつがまた、気持ち悪い。少年時代のフランス人形盗難事件と、それから15年間彼女が大人になるのを待ち続ける異常さ。そんな変質者と敢えて結婚し、彼の言うままに生きる。それも彼女の贖罪なのか。彼女はあの時自分が死ななかったことをずっと引きずり、今も少女の体のまま生きてきた。(彼女は今も、生理がない!)そんな彼女を彼は受け入れる。そこが結婚のポイントだったのだろうか。でも、彼がフランス人形盗難事件の犯人だったとわかってなお拒絶しないのはやはり解せない。そんなこんなも含めてこの第1話は面白い。理不尽さえも作品の力にしている気がする。
それは小池栄子が主演した2話にも言える。彼女が教師として子どもたちを守ることで、贖罪をする、という話なのだが、彼女の行為が異常者とすれすれのところにあるのがいい。ナイフを持ってプールサイドに現れた変質者に冷静な対応で、接して、彼を撃退する。それは正義感からではない。それが、途中からやり過ぎだと非難されるのも、面白い。あの状況で、子どもたちを守った彼女を非難するバカな保護者たちの見当はずれな対応に怖さを感じる。充分あり得る。最初は賞賛し、状況が変わると批判する。そんな周囲に彼女はなんら反応しない。この2話の相手役、水橋研二の正しさがねじれていく様も面白い。
3話の変態男、加瀬亮もいい。だが、この熊女、安藤サクラの話から、最初の怖さが徐々に薄れて来る。続く4話の池脇千鶴の話に到ってはこの作品の流れを完全に壊している。しかも、この話から最後につながるのだが、これってなんだか無理やり終わらせるためだけの展開ではないか。彼女が偶然TVから流れる香川の声を聴いて15年前の犯人の声だと気付くだなんていう展開はあんまりだ。こんなことになるのだと知っていたなら、DVD3巻の1巻目だけを見て、それで終わりにした方がよかった。(でも、自分で全部を見なくてはこんなことになるなんて、わからないけど)