習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『さらば愛しの大統領』

2010-12-07 22:44:53 | 映画
 このバカな映画を、バカバカしいと言って切り捨てるのは、あまりに当たり前すぎてつまらない。ここまでのバカを、バカを承知の上でやれるって凄くないか。バカの限りを尽くそうとしているのだ。これはきっと立派なことだ。普通なら途中でまともな話にシフトチェンジしたくなるはずだ。なのにしない。というか、その気はない。バカ一直線で貫き通すのだ。偉いと思う。くだらなさもここまでいくとちょっとした芸術品である。(うそだけど)

 ナベアツ演じる大阪大統領のバカを中心にして、みんなが必死にバカに邁進する姿は美しい。(うそだけど)仲村トオルまでシリアスにバカをやる。大阪府知事選に立候補したナベアツが、大阪人のおもしろいやんけ、というノリに乗じて当選する。彼は動じない。ノリの良さで好き勝手する。周囲の思惑なんか気にしない。独立宣言をして、大統領となる。オモローランドというテーマパークを作り海外からたくさんの客を集める。資源はないから、笑いでエネルギーを生む。軍事力は金がないから、大阪のおばちゃんパワーに委ねる。エトセトラ、エトセトラ。くだらなさ満載。

 本来の中心はそんな危険な(?)思想を実現していく大統領の命を狙う殺し屋から、彼を警護をするはずの2人の刑事の活躍を描くことのようだ。演じるのは宮川大輔とケンドーコバヤシである。だが、いくら考えても(というか、この映画を見て誰も何も考えません)本当の主人公は、ナベアツである。彼と現職の知事である橋下が重なって見えてくるように作られてある。(これも、うそだけど)橋下もこのナベアツくらいに思い切ったことをしてくれたならいいのに、と無責任なことを思うくらいだ。道化でしかないけど、ただのバカではない。老子も言うように小国寡民は政治のあり方として正しい。国は小さければ小さいほどよいし、できるなら鎖国したほうがいい。

 ということで、ナベアツ大統領は、独立国家大阪というおバカな国で幸せな日々をおくりました、とさ。


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