とても簡単につなぐことによって、2つの話をきれいにひとつにまとめて1本の作品として提示することができた。シンプルであることがこんなにも美しい。
戦場で繰り広げられるのどかでおだやかなピクニック。青年兵士と、その両親、さらには敵兵も交えてのピクニックである。『戦場のピクニック』はそんな明るい不条理劇だ。だが当然、ラストでは一転、地獄となるのだが、それすら静かに収束していく。そして、おびただしい死体と血の海となった場所であるはすの、そこが白い布で覆われて、さらには、静かになったそこは、戦争のあとの風景となる。少年と少女がやってくる。(お話は次のエピソードである『祈り』へと引き継がれる。)
阿矢さんが演じる少年は無邪気で、子供っぽく(5歳という設定らしい。後で配布されたパンフで知った)、対して、少女はとても猜疑的で、まるで老婆のように、ゆっくりと語る。(はたして、この子は少女なのか?)イノセンスをそこに表現するのではなく、もう少し複雑なものとして表出する。それがなんなのかは、明確にはしない。
役者一筋である座長で今回の演出を担当した南田信吉さんは演出家として理論武装はしない。自らの生理の赴くままに、この作品世界を構築する。その時、この小さな世界は不条理ではなく、ピュアなものとなる。リアルとチープを組み合わせた単純な小道具もいい。