最初はこれから何が始まるのか、なかなか明確にならないから、ちょっといらいらさせられた。悠々たるタッチで始まるこの500ページに及ぶ小説は、ポイントが定まらず、冗長なものにすら思えた。しかも数学とか天文学とか、碁の話で、時代劇という僕の苦手なもののオンパレード。話が見えないのは、腹立たしいというふうに思うくらい、最近の僕は余裕がないようだ。
大丈夫か、オレ。そんな心配も抱えながら、読み始めた。夏休みに入って、今まで以上に忙しくなり、朝は8時から進学補習のため授業があるから、普段より30分も早く登校しなければならないし、もちろん予習もしなければならない。クラブは忙しいし、3年の担任なので、40人の3者懇談を10日間でしなければならない。HPFも見に行かねばならない。そんなこんなで気持ちにまるで余裕がなかったのだ。
だが、100ページくらいまで読んできて、ようやく自分の不徳に気づく。主人公の青年が旅立つ第3章「北極出地」に入ったところから、一気に「お話」の世界に引き込まれることになる。これは大沢たかお主演のドラマ『仁 JIN』と同じように、ただの時代劇ではなく、自分が何をなすべきか、を考える青年の話であった。そこが明確になると、急にこの作品が愛おしいものになる。あとは、忙しさなんて、どうでもよくって、ひたすらページをめくるばかりだ。
建部の死のエピソードでは涙が止まらなくて困った。いつものことだが、電車の中でぼろぼろ泣いている大人の男は不気味でしかない。だが、仕方ないことだ。死ぬまで夢を追いかける老人と、その親友である老人。そんな2人の前で生きることの意味を噛み締めることになる主人公の春海。星を見て、この世界の姿を知る。普通の人からすれば何を酔狂なことを、ということにしかならないかもしれない。だが、「何か」に夢中になり、それしか見えない人にしてみれば、それがいかに素晴らしいことで、幸福なことなのかは、明察であろう。残り半分を読むのが、楽しみだ。
大丈夫か、オレ。そんな心配も抱えながら、読み始めた。夏休みに入って、今まで以上に忙しくなり、朝は8時から進学補習のため授業があるから、普段より30分も早く登校しなければならないし、もちろん予習もしなければならない。クラブは忙しいし、3年の担任なので、40人の3者懇談を10日間でしなければならない。HPFも見に行かねばならない。そんなこんなで気持ちにまるで余裕がなかったのだ。
だが、100ページくらいまで読んできて、ようやく自分の不徳に気づく。主人公の青年が旅立つ第3章「北極出地」に入ったところから、一気に「お話」の世界に引き込まれることになる。これは大沢たかお主演のドラマ『仁 JIN』と同じように、ただの時代劇ではなく、自分が何をなすべきか、を考える青年の話であった。そこが明確になると、急にこの作品が愛おしいものになる。あとは、忙しさなんて、どうでもよくって、ひたすらページをめくるばかりだ。
建部の死のエピソードでは涙が止まらなくて困った。いつものことだが、電車の中でぼろぼろ泣いている大人の男は不気味でしかない。だが、仕方ないことだ。死ぬまで夢を追いかける老人と、その親友である老人。そんな2人の前で生きることの意味を噛み締めることになる主人公の春海。星を見て、この世界の姿を知る。普通の人からすれば何を酔狂なことを、ということにしかならないかもしれない。だが、「何か」に夢中になり、それしか見えない人にしてみれば、それがいかに素晴らしいことで、幸福なことなのかは、明察であろう。残り半分を読むのが、楽しみだ。