今回の北野武の方法論はとてもわかりやすいし、徹底している。前作で見世物としての暴力シーンを極めた以上、今回、もう同じことはやらない。それどころか、今度は、一切見せない。表面的には何も起きないことで、暴力を描こうとした。何もないし、何も起きないのに、とんでもない緊張感を孕む展開を見せる。それが全編を貫くのだ。何かが起こる予感だけで1本の映画を見せきるのである。もちろん暴力シーンはあるにはある。だが、直接見せることは、ほとんどない。始まる前と、終わった後、といういつもの北野調の見せ方で切り抜ける。
お話自体は使い古されたやくざ映画の定石である。巨大組織となった組をつぶすため、警察は彼らの内部分裂を画策し、さらには関西の組織との出入りをお膳立てする。もううんざりするようなパターンだ。そこに前作で刑務所に入れられたビートたけし演じる主人公が(冒頭20分以上は登場しない)出所して不本意ながらその内紛に巻き込まれていくという話。
出てくる役者たちがみんな凄い顔面演技を見せる。怒鳴りまくって、怖い顔して、凄む。それがあまりに必死でやるから、なんだか笑える。これってヤクザものをカリカチュアしているってことなのか。でも、なんかみんなまじめに頑張りすぎて、反対にふざけているようにすら見えてくるのだ。あんまりストレート過ぎて、笑うしかないのだけど、どうしようか、そんな感じ。
昨年のキネマ旬報ベストテンの上位にランクインし、小日向文世はこの演技で助演男優賞を獲ったのだが、今までの数々の北野映画の傑作と較べると、僕にはとても物足りない映画だった。ここには方法論以上の突き抜けたものがない。これでは小手先で作られたものにしかみえないのだ。この映画を通して北野武監督が何をしようとしたのか、それが見えてこない以上、これでは(僕にとっては、だが)この映画は意味をなさない。
お話自体は使い古されたやくざ映画の定石である。巨大組織となった組をつぶすため、警察は彼らの内部分裂を画策し、さらには関西の組織との出入りをお膳立てする。もううんざりするようなパターンだ。そこに前作で刑務所に入れられたビートたけし演じる主人公が(冒頭20分以上は登場しない)出所して不本意ながらその内紛に巻き込まれていくという話。
出てくる役者たちがみんな凄い顔面演技を見せる。怒鳴りまくって、怖い顔して、凄む。それがあまりに必死でやるから、なんだか笑える。これってヤクザものをカリカチュアしているってことなのか。でも、なんかみんなまじめに頑張りすぎて、反対にふざけているようにすら見えてくるのだ。あんまりストレート過ぎて、笑うしかないのだけど、どうしようか、そんな感じ。
昨年のキネマ旬報ベストテンの上位にランクインし、小日向文世はこの演技で助演男優賞を獲ったのだが、今までの数々の北野映画の傑作と較べると、僕にはとても物足りない映画だった。ここには方法論以上の突き抜けたものがない。これでは小手先で作られたものにしかみえないのだ。この映画を通して北野武監督が何をしようとしたのか、それが見えてこない以上、これでは(僕にとっては、だが)この映画は意味をなさない。