先行上映で見てきた。最速上映回である。まぁ、たまたまだけど。別に早く見たかったわけではない。それどころか、不安だったくらいだ。もちろん必ず見るつもりだった。ただ前作『敗れざる者』の抑えたタッチが好きだったから今回の事件の核心に迫る完結編には危惧しかない。ガッカリしたくないから見る前にはかなり心配した。不安は的中する。
前作はあまりに『踊る大捜査線』を意識し過ぎていると思った。回想シーンであれだけ織田裕二を出すか? と思った。これでは『踊る』の新作に向けての前哨戦ではないか、と心配するくらいだった。今回の二部作は新しい『踊る』へのアプローチであって欲しい。だけど、これはあくまでも独立した室井慎次という負け犬の老後を描く老人映画であって欲しかった。夢を実現するために生きた彼が定年退職を目前にして警察を去る。青島との約束は守れない。そんな彼のセカンドライフをきちんと描く、そんな映画が見たかった。
だが、映画は残念な出来だった。前作のラストから始まって大きな事件が描かれると思ったが、まるで事件はない。前作の死体発見から始まるはずだった事件は尻窄みになり消えていく。まぁそれはそれでいいけど、ラストのあれは何? 後半戦である本作はいろんなところで裏切られた気分である。
【ここから先はまだ見てない人は読まないように。】
結末にはガッカリした。3人の子どもたちのために生きるって、それが約束の答えなのか? 警察機構を根本から変えるのではなかったのか。せめて、彼にしか出来ない老後の仕事があるのではないかと思った。それにしても吹雪の中、犬を探して死ぬって、何? これは『フランダースの犬』ですか? さらにはエピローグでいきなり青島(織田裕二)の登場って! これはやはり次回『踊る大捜査線』新作に向けての宣伝でしかなかったのか。小泉今日子は新しい事件を起こすわけではない。それも驚き。(もちろん終身犯だから釈放されないけど)いろんな意味で最後の最後までガッカリした。