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初演から4年振りくらいになるのか、と思ったが、なんと3年半だという。この作品を見たのが、僕がショウダウンとの出会いで、それ以降、ほぼすべての作品を見せてもらっている。林遊眠の一人芝居をベースとする今のスタイルが確立したのもこの作品からである。
久しぶりにこれを見て、こんなにもシンプルな作品だったことに、驚きを禁じ得ない。上演時間なんて80分である。その後、連打された作品はどんどん進化していったため、これもまた、同じようにいろんなものを詰め込んだ壮大な作品だったような気がしていたので、ここまでストレートで単純なお話だったことにショックを受けた。もちろん、それは悪い意味ではない。いい意味だ。こんなにシンプルであっても、今の作品と何一つ変わりない、とうことだ。そして、こんな作品だったからこそ、林遊眠の魅力があんなにも素直に伝わったのだ。
今、再び、これを再演することで、初心に戻って、もう一度さらなる進化を遂げることができるのではないか。彼女はとても楽しそうにのびのびと演じているのがいい。まるで舞台で遊ぶように飛び跳ねていた。その自由さこそがショウダウンの精神なのだと思う。
下水道で育った女の子が、育ての親であるネズミの死により、人間世界に戻ろうとするのだが、愚かな人間たちの研究材料にされ、スポイルされてしまう。それでも、彼女の純粋な魂を守ろうとする人たちはいて彼らの助けで、再び自由を手にしようとするのだが、という話は、今回、同時上演された『メビウス』と同様、死から再生を目指す魂の物語だ。そして、それこそがナツメクニオが目指す世界だ。
今、再びこれを船場サザンシアターで上演することを通して、次へと一歩踏み出すことになる。前作『パイドパイパー』で頂点を極めた今、最初に帰ることは必然であろう。ここから始まり、ここに帰る。そして、ここをリスタートとして、次の挑戦がどこに向かうのか、来年の新作が楽しみだ。