『歌え! 多摩川高校合唱部』に続くシリーズ第2弾だ。今回は生徒会ね。もう、タイトルを見たなら一目瞭然。こんなにもわかりやすいシリーズ物はないだろう。でも、このシンプルさがいい。でも、実を言うと、最初はさすがに、「こんなにもゆるい青春物はもういいいよ、」と思い、全く乗れなかった。
仕方なく読み始めたから、そのまま惰性で読んでいた。しかし、、だんだんこの緩さがカイカンになってくる。ここまでパターンに沿った展開なのに、それがなんだか楽しくなってくるのは、きっとここには青春期に一番大事なものが、そこにちゃんとあるからだろう。いつの時代に於いても変わらないもの。作品がそこに触れてきたとき、これはパターンではなく、かけがえのない普遍となる。
不本意なまま3流私学に入学した男の子が、そこに自分の居場所をみつけていき、まわりのみんなに支えられて、本当の自分へと成長していくドラマだ。バカばっかりと、バカにしていたはずのクラスメートや先輩たちが、バカはバカなりに一生懸命生きていることに気付き、いろんなことを彼らから教えられる。(彼らがバカだなんて思っていた自分が恥ずかくなる)
自分の殻を打ち破っていくさまは、学園物の定石だけど、やはり感動的である。大切なものはこういう必死さではないか。冷めた目で安全圏にいて何もせず、くだらない、とか言ってるような奴らとは違って(主人公も最初はそんな立ち位置にいたけど)ここにいる高校生たちはすごく元気で一生懸命である。それだけが取り柄。でも、それでいい。