今回で4作目となる。精力的に活動を続ける神原さんのシリーズものである。4年前の第一作は見たけど、それ以来となる。でも、なんだかずっと見ている気分だ。安心して見ていられるのは、4人の作家の競演である前に、まずこれが神原さんの世界だ、という前提があるからだ。圧倒的な求心力を持つ彼女の世界観が仲間である作家たち、役者たちに伝播して、何をやっても神原カラーに染まるという不思議な連帯感を持つ。それは彼女以外の3人の作家たちが自分を抑えるからではない。神原さんはきっと何の規制も設けず自由にやらせたはずだ。でも、仕上がったものは彼女の世界に吸収される。
今回は「時代劇」というしばりだ。いつも簡単なルールを設けて、あとは自由に20分の短編に収める。時代劇4本立てといいながら、(時代劇なら、ふだんからいつもしているはずなのに)なんと普通の時代劇は1本もない! こういうちょっとしたひねりが、今回の『わらわら草子』の仕掛けなのだ。
毎回4人の作家たちが、共通のテーマのもと、楽しませてくれる。もちろん、一番楽しんでいるのは作り手たちであろうし、神原さん自身だ。原っぱで遊ぶように、芝居で遊ぶ。短編の気安さもあり、いつも以上になんだか楽しそうで、和んだ。最後の神原作品は、なんと宮沢賢治である。もちろん島上亨が演じる。妹のトシは白峰絹子が演じる。定番である。でも、なぜかトシは亀のコスチュームだ。もう、なんでもありである。