読みやすい小説で、2回の仕事場への往復(2日で、ということです)で読めた。読んでいる間は楽しい。よく出来た短編集だ。7つの作品は、それぞれが「今」という時代をちゃんと描けてある。だが、その切り口はあまりに表層的で、正直言うと、これでは物足りない。でも、作者は、このくらいの軽いテイストで、まとめることを望んでいるのだから、そういう感想は彼にしてみれば、心外なことだろう。僕の好みと、作品の目指す方向性の相違でしかないから、気にしないでもらいたい。
7つの話はそれぞれとてもよく出来ていて、オチも秀逸なのだ。風俗の表層を軽くなぞる程度なのだが、目の付けどころは流石に上手い。確かに、あるある、と読み手に思わせるし、明日は我が身、とも思わせる。そして、そこにちゃんとした答えも用意する。救いがある。突き放すようなことはしないところがいい。なんだか優しいなぁ、と思う。でも、こんなこと、なんの解決にもならないよ。まぁ、解決なんてない、と言われればそれまでなのだが。
電力不足を巡る家族の対応を年老いた母親の目から描く『原発がともす灯りの下で』から始まって、オレオレ詐欺、インターネット、お見合いパーティー、リストラ、歴女、最後は本作品集のタイトル、成功に拘る青年の話まで。いかにも、なラインナップだ。幸せになれれば、いいのだが、こんな時代だし、難しい話だ。どこに落とし穴が待ち受けているか、わからない。でも、みんなそれぞれ一生懸命に生きている。勘違いはあるけど、本人は精一杯やっているのだ。そんなこんなの想いがしっかり伝わってくるから、読んで、損はない。
7つの話はそれぞれとてもよく出来ていて、オチも秀逸なのだ。風俗の表層を軽くなぞる程度なのだが、目の付けどころは流石に上手い。確かに、あるある、と読み手に思わせるし、明日は我が身、とも思わせる。そして、そこにちゃんとした答えも用意する。救いがある。突き放すようなことはしないところがいい。なんだか優しいなぁ、と思う。でも、こんなこと、なんの解決にもならないよ。まぁ、解決なんてない、と言われればそれまでなのだが。
電力不足を巡る家族の対応を年老いた母親の目から描く『原発がともす灯りの下で』から始まって、オレオレ詐欺、インターネット、お見合いパーティー、リストラ、歴女、最後は本作品集のタイトル、成功に拘る青年の話まで。いかにも、なラインナップだ。幸せになれれば、いいのだが、こんな時代だし、難しい話だ。どこに落とし穴が待ち受けているか、わからない。でも、みんなそれぞれ一生懸命に生きている。勘違いはあるけど、本人は精一杯やっているのだ。そんなこんなの想いがしっかり伝わってくるから、読んで、損はない。