表面的なストーリーの提示だけで、お話を進行させていくから、緊張感がなくなる。これではリアリティがない。このお話を通して何を描きたいのか。それをどう見せるのか、という一番大事な部分がお座なりになっているから、たった1時間の芝居なのに退屈させられる。ある種のパターンに終始してオリジナリティが感じられない。こういうタイプの芝居は結構よくあるから、「あぁ、」とため息をつくしかない。もちろん、一生懸命に作っているのはわかるし、お話自体は悪くはない。
眠ったら別人格が現れるという少女たちと、彼女たちの治療に当たる医師たちスタッフ。彼女たちの取材と称してそこにやってくる自称ジャーナリスト。治療室に舞台を限定して彼らの関係性を密に描けたならよかったのだが、それが難しい。密室であることを生かせないのもつらい。
二重人格、というよりも自分の中で眠っていた本当の自分が動き出すという話だ。この核となるストーリー自体は面白いのだが、その見せ方がちょっと単調すぎて、もったいない。3人のドリームガールズたちが予言する未来を誰が信じるのか、13日間降り続く雨、一度目の予言である地震が実際に起きたこと、今回の二度目はどうなるのか、そんなこんなでドキドキさせながら、そこでちゃんとお話を引っ張ってラストまで持っていけたなら面白いのだが、そうは出来ない。テンポが悪く、あまりに単調な展開で、お話に緊張感を感じさせられないからだ。演出がお話の余白を埋められない。まぁ、こんなふうに芝居を作るって、なかなか難しいということだ。