ジョニー・トーのメロドラマなんか、あまり期待できない、と高をくくっていた。それでもアクションだけが、ジョニー・トーではないことは充分知っているし、なんでもこい! のジョニー・トーなのだが、やはり、本来の守備範囲はバイオレンス、と思っている。でも、彼には『ターンレフト・ターンライト』があるのを忘れていた。あのとてもチャーミングな映画を彼が監督しているのだ。あなどれない。本当はこの映画を見る予定ではなかったのが、整理券を貰いに来たついでで、見ることにした。
ABCホールでオリジナル・ポスターを見た時、そこにタイトルが『高海抜之恋Ⅱ』とあるのを発見! ということは、「これはヒット作か、なんかの続編だったのか? それってどうよ」と思った。1作目を見ていないのに、大丈夫か、ということよりも、そういうシリーズの1本を単発で見せられるのは嫌だな、と思ったのだが、予想は裏切られる。続編ではない。なのに、このタイトル。もちろんそこにはちゃんとした訳がある!
以上、ここまでは、長い前置きでした。 結論です。 ≪これは傑作だ!≫
やられた、と思った。こうくるか、と感心した。最後はもう、泣きまくる。ダダ泣き。ありえない。でも、上手すぎる。タイトルの謎も解けた。これは続編なんかではない。でも、そのタイトルが見事にこの映画のすべてを表現している。ラブストーリーの王道をいきながら、クサくはならず、ぎりぎりのところでバランスをとっている。それって香港映画としては、かなり奇跡的なバランスなのだ。主人公の2人が上手い。その上手さも、ぎりぎりで、かなりやばいところで成立するのだ。危ない危ない。
スターの恋の話である。別々の世界で生きている2人が偶然出会い恋に陥る、というパターンなのだが、ひねり方が上手すぎる。ルイス・クー演じる映画スターが、傷心の旅で出会う女が、サミー・チェン。『卒業』のパロディーからスタートして、結婚相手を奪われた彼が雲南の高所にある(海抜3800メートルとか、言ってたような)樹海旅館で、そこを切り盛りする女性と出会う。彼女は夫を樹海で失い、今も彼が帰ってくるのを待ち続ける。恋に傷ついた2人がどんなふうに心を通い合わせるのかは見てもらうしかないのだが、ある種の定番を踏まえるにも関わらず、今までにない新機軸になっている。
ラストのどんでん返しも上手い。まだまだやる、のに、それがしつこくはならない。そう来たか! と思わされる。後半になって唐突に始まる死んでしまった夫とのお話がすごくいい。それまでの心地よいワンパターンを爽やかに裏切る。
劇中劇となる映画が2本とも凄い。最初の『夫の眼鏡』はもちろんのこと、最後の『高海抜の恋』には驚く。これがあるから、この映画が『高海抜の恋Ⅱ』となるのである。ここまでやるか、である。失った恋にとどまり続ける人生から、一歩足を踏み出す瞬間をいかに説得力を持って見せられるかが、この手の映画の肝だ。だから、あそこまでやられたとき、彼の本気がちゃんと伝わり、ただの甘い映画にはならない。思いもしない傑作に驚く。これだから映画は面白い。
ABCホールでオリジナル・ポスターを見た時、そこにタイトルが『高海抜之恋Ⅱ』とあるのを発見! ということは、「これはヒット作か、なんかの続編だったのか? それってどうよ」と思った。1作目を見ていないのに、大丈夫か、ということよりも、そういうシリーズの1本を単発で見せられるのは嫌だな、と思ったのだが、予想は裏切られる。続編ではない。なのに、このタイトル。もちろんそこにはちゃんとした訳がある!
以上、ここまでは、長い前置きでした。 結論です。 ≪これは傑作だ!≫
やられた、と思った。こうくるか、と感心した。最後はもう、泣きまくる。ダダ泣き。ありえない。でも、上手すぎる。タイトルの謎も解けた。これは続編なんかではない。でも、そのタイトルが見事にこの映画のすべてを表現している。ラブストーリーの王道をいきながら、クサくはならず、ぎりぎりのところでバランスをとっている。それって香港映画としては、かなり奇跡的なバランスなのだ。主人公の2人が上手い。その上手さも、ぎりぎりで、かなりやばいところで成立するのだ。危ない危ない。
スターの恋の話である。別々の世界で生きている2人が偶然出会い恋に陥る、というパターンなのだが、ひねり方が上手すぎる。ルイス・クー演じる映画スターが、傷心の旅で出会う女が、サミー・チェン。『卒業』のパロディーからスタートして、結婚相手を奪われた彼が雲南の高所にある(海抜3800メートルとか、言ってたような)樹海旅館で、そこを切り盛りする女性と出会う。彼女は夫を樹海で失い、今も彼が帰ってくるのを待ち続ける。恋に傷ついた2人がどんなふうに心を通い合わせるのかは見てもらうしかないのだが、ある種の定番を踏まえるにも関わらず、今までにない新機軸になっている。
ラストのどんでん返しも上手い。まだまだやる、のに、それがしつこくはならない。そう来たか! と思わされる。後半になって唐突に始まる死んでしまった夫とのお話がすごくいい。それまでの心地よいワンパターンを爽やかに裏切る。
劇中劇となる映画が2本とも凄い。最初の『夫の眼鏡』はもちろんのこと、最後の『高海抜の恋』には驚く。これがあるから、この映画が『高海抜の恋Ⅱ』となるのである。ここまでやるか、である。失った恋にとどまり続ける人生から、一歩足を踏み出す瞬間をいかに説得力を持って見せられるかが、この手の映画の肝だ。だから、あそこまでやられたとき、彼の本気がちゃんと伝わり、ただの甘い映画にはならない。思いもしない傑作に驚く。これだから映画は面白い。