少し不安もあったが、阪本順治監督作品である。つまらないはずがない、と思って劇場に足を運んだ。彼にとって東映セントラルフィルム(とは、今はもう言わないのだが、黒沢満、製作なので、敢えてそう言う)での2作目である。前作『カメレオン』以上に自由にこの空気を生かした映画作りに取り組んだはずだ。撮影仙元誠三、脚本丸山昇一という往年の松田優作、村川透コンビを想起するチームで、仲村トオルを主演に迎えてアクション映画に取り組む。
緊張感のあるいい映画だ、とは思う。だが、その緊張感が最後までは持続しない。話の輪郭がよく解らないうちはよかったのだが、話が見えてきたところからは、突っ込みどころ満載で、つまらなくなるのだ。どうしてこんなことになったのか。
ベストセラーになったという原作小説(志水辰夫)が悪いのだろうが、丸山昇一なのに、まるで話がつまらないのにはまいった。原作に縛られすぎたのか。善悪の区分けは明確なのだが、その単純さが生きない。お話にまるでリアリティーがないからだ。男女の哀歓がきちんと描かれてあるか、というと、そこもおざなりだ。12年の空白の意味、再会した2人の間にあるその圧倒的な時の隔たりが描き切れていない。しかも、行方不明になった教え子を捜すという話にもまるで説得力がない。主人公の設定に問題があるのではないか。かつて高校教師だった塾の講師がここまでするか。こんなことなら、主人公は嘘くさくなるのは承知の上で、探偵にでもしたならよかったのではないか。それならなんでもありに出来るし、虚構の中にあるリアルが描けたはずだ。なのに、中途半端にリアルを追求するから反対に嘘くさくなるのだ。彼がかつて勤めていた私立の名門女子高校の不正を巡る問題がドラマの核になるというのも、なんだか都合がよすぎる。
まぁ、正直言うと、どんな話でもかまわないのだが、せめて登場人物の気持ちには嘘がないようにして欲しかった。だが、きまじめな阪本順冶はドラマの方にもリアルを求める。その結果、映画自体が中途半端なものとなる。これだけの豪華キャストを集めて、それぞれの役者に、この程度の芝居しかやらせないのもなんだかもったいない。キャスティングにも難がある。せめて、谷村美月を友だち役なんかで使うのではなく、行方不明になるヒロイン役にしてもらいたかった。それだけでも、映画に幅が出たはずだ。丸山昇一なのだから、魅力的なキャストをちゃんと生かせるような台本を書いて欲しかった。これだけ集めても、彼らに見せ場がなさすぎるのだ。ほんのワンシーン出演であろうとも、彼らならきちんと見せれたはずだ。ARATAや、杉本哲太とか、あんなのでは納得がいかない。
本当なら今もここで幸せに生きていたはずの街を、行きずりの街にせざる得ない主人公の孤独が胸に迫る映画になっていたなら、よかった。仲村トオルも小西真奈美もこんなによくやっているのに、なんとも残念でならない。
緊張感のあるいい映画だ、とは思う。だが、その緊張感が最後までは持続しない。話の輪郭がよく解らないうちはよかったのだが、話が見えてきたところからは、突っ込みどころ満載で、つまらなくなるのだ。どうしてこんなことになったのか。
ベストセラーになったという原作小説(志水辰夫)が悪いのだろうが、丸山昇一なのに、まるで話がつまらないのにはまいった。原作に縛られすぎたのか。善悪の区分けは明確なのだが、その単純さが生きない。お話にまるでリアリティーがないからだ。男女の哀歓がきちんと描かれてあるか、というと、そこもおざなりだ。12年の空白の意味、再会した2人の間にあるその圧倒的な時の隔たりが描き切れていない。しかも、行方不明になった教え子を捜すという話にもまるで説得力がない。主人公の設定に問題があるのではないか。かつて高校教師だった塾の講師がここまでするか。こんなことなら、主人公は嘘くさくなるのは承知の上で、探偵にでもしたならよかったのではないか。それならなんでもありに出来るし、虚構の中にあるリアルが描けたはずだ。なのに、中途半端にリアルを追求するから反対に嘘くさくなるのだ。彼がかつて勤めていた私立の名門女子高校の不正を巡る問題がドラマの核になるというのも、なんだか都合がよすぎる。
まぁ、正直言うと、どんな話でもかまわないのだが、せめて登場人物の気持ちには嘘がないようにして欲しかった。だが、きまじめな阪本順冶はドラマの方にもリアルを求める。その結果、映画自体が中途半端なものとなる。これだけの豪華キャストを集めて、それぞれの役者に、この程度の芝居しかやらせないのもなんだかもったいない。キャスティングにも難がある。せめて、谷村美月を友だち役なんかで使うのではなく、行方不明になるヒロイン役にしてもらいたかった。それだけでも、映画に幅が出たはずだ。丸山昇一なのだから、魅力的なキャストをちゃんと生かせるような台本を書いて欲しかった。これだけ集めても、彼らに見せ場がなさすぎるのだ。ほんのワンシーン出演であろうとも、彼らならきちんと見せれたはずだ。ARATAや、杉本哲太とか、あんなのでは納得がいかない。
本当なら今もここで幸せに生きていたはずの街を、行きずりの街にせざる得ない主人公の孤独が胸に迫る映画になっていたなら、よかった。仲村トオルも小西真奈美もこんなによくやっているのに、なんとも残念でならない。