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映画・演劇のレビュー

『オールド・ボーイ』

2014-08-03 08:28:19 | 映画
 忙しくて見に行けなかった。気がつくと、その日(確か、7月の4週目だったのではないか?)が上映の最終日で、なんと一日1回上映で、朝だけしかしていない。やばいと思って、朝、時間給を取って見に行くことにした。たまたま、夏休み中で、補習もないし、懇談もその日はなく、さらにはクラブも昼からだったから、休みが可能だったということもある。でも、何より先ず、あのパク・チャヌクの傑作にスパイク・リーがどう挑んだのか、その顛末が気になって劇場の向かう。

 それにしても、早々の打ち切りがよくわかる惨状だった。なんと、観客は僕ひとりである。大きな劇場を朝から独占してのプライベート上映だ。難波はもう上映していないから、大阪ではここだけではないか。梅田の一等地で、一番大きなスクリーンで、ひとり見るなんて、なんだか、虚しい。(でも、本編が始まる頃、誰かひとり、入ってきたから観客は2人になった。よかった!)


 それにしても、まずは映画である。(というか、そんな要らぬことを書くのではなく、大事なことはそれだけだ!)

 スパイク・リーは、なぜこの作品を手掛けたのだろうか。見終えてもよくわからない。彼がこれを映画化する意味がまるで感じられないから啞然とした。韓国版(パク・チャヌクの映画は本当に衝撃的だった!)のオリジナルをリメイクする過程で、彼なりのアレンジがどう施されるのかに興味を持ったのに。

 この映画を見てもまるで「彼らしさ」のようなものは感じられない。これまでは作家主義の作品を作り続けた彼がこういう自分の主義主張のまるで感じられない娯楽映画を手掛けたのはなぜなのか。しかも、それが、あまり面白くはないし。映画は、残酷なばかりで、ストーリーテラーとしての才能を発揮したわけでもない。

 20年間、密室に閉じ込められていた。わけがわからない。だが、ある日突然解放された。誰が何のためにそんなことをしたのか。彼はその謎を解明しようとする。だが、彼を監禁していた側の手の内で踊らされているだけ。彼が反撃に転じることはない。両者の攻防にもう少し緊張感が欲しい。一方的すぎるから、映画としてはつまらない。しかも話がつまらなさ過ぎて納得できない。こんなことで監禁されたりしたら、たまらない。おかしいのは自分たちのほうなのに逆恨みでしかないし。しかも、こんなにも大がかりなことをしてまで、彼を陥れたいか? ありえない。謎が解けたところで、反対にがっかりする。

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