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映画・演劇のレビュー

『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』

2009-03-24 20:13:34 | 映画
 これは「犬と家族の温かな絆を描く感動作」ではない。何よりもまず、2人の男女が出会い、結ばれて、結婚し、家族になる。子供が生まれ、年をとり老いていく。そういうあたりまえの人生の軌跡を追いかける映画だ。そこに大切な要素としてマーリーが登場するのである。この優先順序を間違えてはならない。

 この世界一おバカな犬はこの家に入ってきて、いつのまにか家族の中心となり、彼らの日々を形作る。そのことは事実だ。だが、この映画はあくまでもこの夫婦の物語だ、という視点をだけは曖昧にはしない。だからこの映画が信用できるのである。

 犬と一緒にあった人生がここにはあるのだ。このおバカな犬のせいで本当ならしなくてもいいような様々なことをしなくてはならなくなる。でもそんな苦労のひとつひとつが大事な思い出となっていく。長い人生には、ほんとうにいろんなことがある。そのひとつひとつを夫婦で乗り越えていく。そして気付くと彼らはこんなにも長い時間を共に過ごしている。そしてそこにマーリーもいた。

 これはオーウェン・ウイルソンとジェニファー・アニストン演じるどこにでもいるような夫婦の、でもかけがえのない堅い絆を描く感動作である。犬が可愛いから泣けるというわけでは断じてない。

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