もう何度目になるのだろうか。数えきれないほど見てきた(気がする)『オー・マイ・リョーマ』である。だけどやはりまた見たい、と思う。毎回違うヴァージョンで、新しいキャストで作られるけど、絶対にリョーマは寺田夢酔が演じる。そこだけは変えられないし、そこを変えるなら見ない。それは渥美清が演じない寅さんのようなものだから。
さて今回は布施PEベースでの上演。幾分狭い空間に20人に迫るキャストが走り回って大騒ぎする。いなくなった竜馬を探して走り回る。セットも簡略化した。このシンプルで狭い空間を役者たちは全力で右往左往しぶつかりそうになりながら駆け回り熱く演じる。
散々笑いながら、最後は泣ける。これはそんな芝居である。ここからは竜馬がこの国の未来と仲間たちを思う気持ちがしっかり伝わってくる。泣けてくるのはだからだ。
そして、何度見ても新鮮なのはこれがお話を伝えることが目的の芝居ではなく、彼らの熱い想いを伝えたいという寺田さんの想いがまず根底にあるからだ。竜馬を慕い命を共にする海援隊を中心にした「チーム・リョーマ」のメンバーたちのドラマは寺田さんを中心にする「劇団よろずや」の姿と重なる。このドタバタ騒動の半年先には確かな竜馬の死がある。そんなことも含めてこの1日の(まだ、朝だけど)ドラマは描かれる。だから切ない。
竜馬を演じた寺田さんではなく、主人公の長岡を演じた赤穂神惟がチームリーダーとして芝居全体をしっかり引き締めるのもいい。素晴らしいチームワークの勝利である。