さぁ、第4回目に突入だ。なんと、今回の作品で25本を達成する。9か月連続、50本のショートショートの上演という自分たちに課したノルマのターニングポイントを早くも4ヶ月目で実現した。怒濤の8本立である。しかも、今回は2時間10分の大作になった。(先の3作品は、いずれも1時間50分に収めてある)
本当を言うと、今回は途中で抜けさせてもらって、HPF北摂つばさ高『弱法師』を見に行くつもりだった。(ZAZAから走って5分のウイングフィールドで6時半開演なので、1時間20分のところで、出ようと覚悟して行ったのだ。だが、そんな(失礼な)ことは不可能だった。だって、これはおもしろすぎる!
ここまでで3作品を上演して、あらゆるパターンを試したたかせさんが本領を発揮したのが、今回の作品だったのではないか。もちろん、力が入っているのは、いつもと同じ。ことさら凄いことをしようとするのではない。ただ、バランスがよくなったこと、さらにはゲストとして劇団Patchの若い2名を投入したことで、全体に余裕が出来たことも大きい。彼らを生かした作品が実にうまく機能した。別に彼らがコメディアンとしての資質を発揮したというわけではない。そうではなく、ただ彼らのそのままの素地が作品に膨らみと幅をもたらしたのだ。レギュラー陣との相性も抜群で、彼らもまた先の3作品よりも余裕を持ち、弾けている。
オープニングの『モンスター』で向田倫子が炸裂した演技を見せて震撼させる。つかみとしては最高だ。かなりやばい展開にまで踏み込む。寸止めして終わる。こういうブラックな笑いがたかせさんの真骨頂だ。今の教育問題に斬り込むとか、そんな大げさなことではないけど、母親と息子の異常な関係性を、対する学校の体質と絡めて描き、やがてはなんだかやばいところにまでお話を持っていく。見ていてドキドキさせられる。
そのあと、軽く2作品(ここで、今回ようやく復活した劇団のヒロインおおせゆかが登場!)を提示した後、怒濤の3作品連続上演になる。圧巻だった。バカバカしい『花火』は夏の風物詩を背景にしたバカップルの恋愛もの。次の『村川くん大好き!』では、またまた向田さんに狂気を体現させて、村川くんをたじたじにしてしまう。もうこのエピソードでは、彼のファンの女の子たちだけではなく、会場全体に笑いが炸裂。その後見事なキャスト全員による得意のダンス・アンサンブルプレイ『電車』で締める。
いつものたかせさんによる脱力系MCを挟んで、ラスト2本。ここでも村川、吉本のPatch二人組を起用した『最初の晩餐』で笑わせ、再び全員による『私だけの緊張緩和法』で作品全体をしっかりと締めることとなる。4ヶ月目で到達した頂点であろう。とてもじゃないが、こんなにも面白い作品の途中で抜けるなんて不可能だ。