これは若い学生劇団の公演だ。藤井寺市の市民会館小ホールというマイナーな空間で上演される。春演参加作品なので見せてもらえた。そうじゃなくては、関係者じゃないとこんな芝居があることさえ知らないまま終わるはず。
土曜日の朝からの公演というのも珍しい。こんな僻地(!)で休日の早朝から芝居を見るなんてなんだか新鮮。初めてのところだったから時間に余裕をもって行った。開場前に着き、ロビーで読書しながら待つ。僕以外にももうひとり待っている人がいた。きっと劇団のお友だちだろう。
芝居を始めて間もないまだ初心者マークの作品である。転換や明かりの使い方がギクシャクしていて危なっかしい。思わず、頑張って!と声援を送りたくなる。20前の大学生たちが演じる高校生はなんだがこちらも少しギクシャクしている。ついこの間まで高校生だったはずなのに。
芝居自体はやりたいことはわかるけど、見せ方に難あり。横並びでの芝居が多くて、台詞の発表会みたい。芝居自体は立体的に立ち上がらない。お話を伝えるだけで手一杯になっている。演出家不在のままの稽古が、そのまま舞台となった。
第十惑星の悲劇や孤独が、高校生たちの孤独とシンクロして伝わってこないとこの芝居の意図は伝わらない。10人いる、ということが力になり、環崎冥巡(かんざきめぐる、と読む)を最初に共鳴した砂田だけでなくみんなが救うという単純な図式を感動的に描けたらよかった。オカルト研究部と天文部というふたつのマイナーなクラブの新入生勧誘から始まって、10人のキャストが入れ替わり立ち替わり舞台に登場するけど、その出入りがよくない。もっとスマートにして欲しかった。いろんな意味で演出不在は大きい。