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まさかの4ヴァージョン、しかも主役の山田蟲男以外は重ならない。26名の4パターンである。キャストだけで101名。よくもまぁこれだけの役者が集まった(集めた)ものだ。そしてよくもまぁ短期間でこれだけの芝居を作り上げたものだ。前回の1ヶ月2本立てロングラン(10月)からわずか2ヶ月でこの大作を仕上げたサリngROCKに感服する。交通整理だけでも大変だったはず。今年は映画(『バッドランズ』)の公開もあり、大活躍の1年だった。(彼女は年末恒例の映画賞で助演女優賞や新人女優賞にノミネートされている)そんな今年最後を飾るのが今回のこの一大イベントであろう。
今年最高の傑作『罪と罰』から始まった一年が終わる。僕にとってもこれはちょうど今年見た100本目の記念となる芝居だ。コロナ禍の3年、芝居を見る本数が大幅に減少していたのだ。ようやく2019年並みになってきた。
僕は「あずきあらい組」を見た。本当はevkkの澤井里依さんが出る「がしゃどくろ組」が見たかったのだが、残念ながら時間の関係でこの組になった。とてもよく出来た作品だと思う。2時間10分、全く飽きさせない。心地よい時間だった。ただお話がバラバラで全体のまとまりがない気がしたのは残念。
墓石に囲まれたオサムの棲む家が巨大な墓に見える。彼はもう死んでいると思うとお話全体が整合性を保つ。毎日パンを持ってやってくる母親は墓参りに来ていることになる。森の中にポツンとある家は周りの墓石と同じ。悪意と優しさ。相反するものが交錯する。
7人の幽霊たちがお話にまるで絡まないのも気になった。作品としては前作である『墓場のオサムと機嫌がいい幽霊』には及ばない。だがこれだけの作品を作り上げたのはそれだけでもすごい。9ステージを乗り越えた。ほんとうに凄いことだ。