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生まれてこのかた、ジャンプを読んだことがない。というか、ジャンプだけではなく、週刊マンガ誌というものを手にしたことはない。いや、手にしたくらいのことはあるけど、1冊まるごとを読んだことがない。(少女マンガ誌も含めて)僕はあまり、マンガは好きではない。しかも、こま切れを読むなんて、面倒なことはしたくはないし。つげ義春や林静一は好きだった。高校のころはガロは読んでいたけど、その後、マンガはほとんど読まない。子供のころだって、そうだ。手塚治虫は好きだったから、全集や単行本でなら読んだ。膨大な量を読んだ。萩尾望都とか陸奥A子、竹宮恵子とかも読んだけど、さすがに週刊誌はムリ。
そんな僕がこの映画を見て、感動している。ここに描かれている想いはマンガの世界だけではなく、世の中のすべてと共通している。ジャンプの基本方針、感動、友情、熱血、だったっけ。(ちょっと違うなぁ)単純でクサイし、バカバカしい。だけど、大切なものかもしれない。それらを映画もまた、前面の押し出す展開で、怒濤のサクセスストーリーを繰り出す。こんなにも簡単に素人の高校生が、天下の週刊少年ジャンプのナンバーワンになれるものか、なんて考えさせることなく、信じさせる。見るものを、ウルウルさせる。いいじゃないか、これで。そう思わせる。
高校2年から、卒業までの1年半ほどで、人生の頂点と地獄を経験したスーパー高校生たち。彼ら2人の高校の卒業までの夢のような日々を描く。これは単純な映画だが、単純なサクセスストーリーというわけではない。夢をかなえ、名声を手にした瞬間から始まる地獄を見据えて、それでも、そこから人生をスタートさせる子供たちの大きな夢への挑戦を描くのである。ラストは夢の終わりではなく、始まりだ。それって凄い。
主人公のふたり(神木隆之介と佐藤健)を除いて、ほかのみんながとてもクサイ芝居を堂々と見せるのもいい。染谷将太なんて、登場した瞬間からスターのオーラを出しまくっていて、ありえない。芝居が上手だとか下手だとかいうレベルを超越している。その圧倒的な存在感は半端じゃない。凄すぎてビビる。ほかのキャストも彼ほどではないけど、みんなやりたい放題。なのに、それが実に見事はまる。新井浩文もいつもながらの怪演。桐谷健太もいつもながらの暑苦しい演技で、クサすぎる。
ただ、難点がないわけではない。佐藤健が血を吐いて倒れるところから、終盤の部分が少しもたつく。しかも、お決まりの展開とはいえ、さすがにやりすぎた。だが、その後のラストは上手いし、とても爽やかなエンディングでいい。もちろん、大根仁はこの映画で『モテキ』を超えた。