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映画・演劇のレビュー

『向日葵の丘 1983年 夏』

2017-10-26 20:57:11 | 映画

 

80年代を舞台にして、もう消えていこうとする8ミリ映画(僕が8ミリ映画に夢中になっていた70年代後半でも、モノクロはなくなっていた)を撮る映研(映画研究部だ!)の3人の少女たち、一夏の冒険。

 

スーパー8のモノクロフィルムで、映画を撮るって、なんだか大胆だ。マニアックな映画好きの女子高生たち。(そんな高校生は70年代にもいなかった)初めての8ミリ映画制作。それを町ぐるみで支える。そんなことの、ひとつひとつが現実にはあり得ないことだけど、そんな夢のような設定で作られたこの映画自体が映画少年のなれの果てである太田隆文監督による夢のお話なのだろう。

 

現代(30年後、なんで2013年ということか)のシーンから回想に入るというオーソドックスなパターン。40代後半の(もうすぐ50歳になる)ヒロイン常盤貴子(高校時代は芳根京子)が、30年振りで帰郷する。末期がんでもうすぐ亡くなる親友に合うためだ。クライマックスは幻だった30年前の8ミリ映画の上映会。さらにはずっと疎遠になっていた両親との和解も描かれる。

 

全体としては甘い映画なのだが、こういう感傷的な映画は嫌いではない。(というか、このパターンは、昔はとても好きだったけど、最近不感症になっているからあまりなんとも思わなくなってきた。なんか、悲しい)大林宣彦監督の弟子筋にあたる太田監督は、大林映画同様とてもセンチメンタルだ。だけど、ちょっとテクニック的に下手なので、見ていて気恥ずかしい。(気持ちよく騙されないってことだ)映画自体も低予算なので、(この手作り感覚は好き)どうしても80年代を作り込めない。舞台となる静岡のローカルカラー(30年たっても、あまり変わらない)が映画を救っているけど、この内容で2時間20分はちょっと長い。とても好きなパターンの映画だけど、途中少し退屈して眠くなる。この大甘映画にドップリ浸かりきることが出来ないのが悔しい。

 


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