N・シャマランの新作かと思ったら、娘の監督デビュー作。もちろん父さんがプロデュースしている。親の七光り。しかも父の作る映画そっくりのルックス。これはあかんな、と思ったけど、2時間の空白を埋めることが出来る映画は、その劇場のその時間帯にはこれしかなかったから、仕方なく見ることにした。監督は現在24歳だというイシャナ・N・シャマラン。
脚本はシャマランかと思っていたが(もちろん、シャマランだけど父ではなく、娘本人)彼女が書いた。前半部分は父親の出来のよくないコピー。だが、森を抜けた後の展開は父とは少し違う。お話にきちんとした整合性をつけようとしたみたいだ。だけど、穴だらけで、まるで納得できない代物。人間対妖精の対決とが、両者の混血だったとかいうオチとかはいらない。シャマラン(父)なら、そんなグダグダは描かない。よく出来た映画はストレートに恐怖だけで伝わる。説明が作品の力になるならいいけど、そうはならないなら、わけのわからない恐怖だけで押し切るべきだった。父のように。
ダコタ・ファニングはよく頑張っているけど、クリーチャーの造形や出し方に問題があるから、『エイリアン』のシガニー・ウィーバーにはなれない。森から街に舞台を移した時、世界が広がりさらなる恐怖が始まる、はずなのに小さくまとまった。姉との和解なんて、それで終わっていいの?