先日たまたまBSでこの映画を見た。平日の昼間から家でいるからこそ、可能な所業だ。懐かしさに駆られて、久々に見る。中学生くらいの時にTVの映画劇場で見たのが最初の出会いだ。とても感動した。その夜はラストシーンでトロッコを漕いでいくふたりの姿が目に焼き付いて、興奮したまま眠りについたことを鮮明に覚えている。「日曜洋画劇場」だったのなら淀川長治さんの解説もついていたことだろう。
あの頃、子供でお金もなくてまだ映画館に通えなかったから、日曜、水曜、金曜と週に3回は9時からTVで映画を見ていた。そこでさまざまな洋画と出会えた。高校生になると、名画座で2本立、6,700円で映画を見るようになる。そこででも(今度はカットもなくちゃんと字幕で)この映画を見たはずだ。何度となく見ている映画は数少ない。これはそんな1本だ。でも今回40年ぶりくらである。再見するのは。
懐かしいだけではなく、鮮明にすべてのシーンを覚えていた。(最近は1日前に見た映画すら忘れているのに。)メロディちゃんと墓場でデートするシーンが好きだった。サントラも買ってこちらは何十回どころか、何百回も聞いたはずだ。この映画だけではない。70年代の映画の傑作映画は、自分の10代と重なるから、鮮烈だ。リアルタイムで見た映画だけではなく、膨大な旧作を初めて見たり、さらにはそれを繰り返し見たことも。今ではあり得ないことだが、そんなこんなが今の自分を作っているのだな、と改めて思う。(まぁ、今はそんなことを書く場面ではないから、このへんでやめるけど。)
今改めてこれを見ると、当時あれほどまでに熱狂していたことがなんだか嘘のように穏やかに見られる。だいたいこれは歴史に残るような傑作ではないし。でも、この新鮮な感動はあの頃と同じだ。この映画は色褪せない。これと同じように『卒業』や『明日に向かって撃て!』もあの頃のレジェントだ。どうして10代の心をあそこまで揺さぶったか。(もちろん、そんなことちゃんとわかっている。だが、今の10代の子がこれらの映画を見たなら、どんな印象を受けるのだろうかは、想像がつかない)
とてもシンプルで、わかりやすい映画だ。気持ちが単純で直情的。だからストレートに魂に届く。結婚式場に行く、2階から「エレーン!」と叫ぶ。それだけで泣けるような時代だった。バカな男の純情。「好きだから、結婚するの」という小学生(マーク・レスター少年)の無邪気さに心打たれる。そんな時代を経て、今の自分がいる。