2時間10分の大作である。こういうタイプのエンタメ芝居は、もともとあまり得意ではない。だから少し辛口になるこもしれないが、ご容赦願いたい。
まず、最初から最後まで音楽鳴りっ放しで、うるさいし、科白も聞き取りにくいのが気になる。さらには派手な見せ場がいっぱいあるように見えて、見せ方が一本調子なのであまり派手にはならない。単調すぎるのだ。これではダンスを中心とした見せ場なのに、そんなシーンが続くとだんだん眠くなる始末だ。
作り手の熱意が、なんだか空まわりしていくような芝居で、見ていてそこが少しつらかった。とても気合が入っていることはよくわかる。これは全力投球の力作なのだ。だが、ドラマを作るうえでまず必要なメリハリのある作りが出来てない。それと、伝えようとすることをいかに心地よく観客に手渡していくかという呼吸がうまく合わない。その一番大事な部分でこの作品は、気持ちばかりが先走りして失敗している。
カナタ(竜崎だいち)のニンゲンにどうしても会いたいという気持ち、その理由に対する前フリ部分が弱いので、話の展開がスリリングにならない。この世界で唯一生き残ったニンゲンである純一郎(片岡百萬両)と出会い、彼に抱きしめられた時の驚き。初めて会ったはずなのに、カナタは彼にときめいてしまう。あまりに衰弱していてやつれた存在であるニンゲン。彼はカナタを見て、「ハルカ」と呼び抱きついてくる。ここできちんと感動させたい。だが、それができない。
ニンゲンがいなくなった世界で、ロボットたちだけが、地下で生活していた、という設定は悪くはないし、前半のカナタがニンゲンを探す話と、後半、地上に出て行き人間に就くか、ロボットだけで生きるか、という二手に分かれて戦うという話も、パターンだが悪くはない。構造的には問題はないのだ。このお話の中心にハルカと純一郎のラブストーリーをしっかり据えて、この芝居を時空を越えた恋の物語として、ぶれることなく見せきって欲しかった。ハルカとカナタの関係を通して、作者である竜崎だいちさんは彼女たちの切ない思いを描くはずだったのではないか。
「ロボットがニンゲンに恋をする」(たとえ、彼女がそんなふうにプログラミングされていたとはいえ)という単純だからこそ美しい話はこの手のエンタメとしてストレートで悪くない。後は伝え方、それが上手く機能しないのが惜しい。
芝居自身は、あらゆる面で、これだけきちんと準備できているのだから、あとは見せ方の問題だけなのだ。たくさんの人物を配して、その結果ぐちゃぐちゃしすぎてしまったことが、問題なのだ。せっかくこれだけ多彩なキャラクターを用意したにもかかわらず、ディテールが雑になっているから全体がまとまらない。
だいたい何度も言うが、「カナタの純一郎への屈折した想い」、それさえ伝われば、それだけでこの芝居は成功したはずなのだ。なのに肝心のその部分が上手く伝わらないのがもどかしい。
まず、最初から最後まで音楽鳴りっ放しで、うるさいし、科白も聞き取りにくいのが気になる。さらには派手な見せ場がいっぱいあるように見えて、見せ方が一本調子なのであまり派手にはならない。単調すぎるのだ。これではダンスを中心とした見せ場なのに、そんなシーンが続くとだんだん眠くなる始末だ。
作り手の熱意が、なんだか空まわりしていくような芝居で、見ていてそこが少しつらかった。とても気合が入っていることはよくわかる。これは全力投球の力作なのだ。だが、ドラマを作るうえでまず必要なメリハリのある作りが出来てない。それと、伝えようとすることをいかに心地よく観客に手渡していくかという呼吸がうまく合わない。その一番大事な部分でこの作品は、気持ちばかりが先走りして失敗している。
カナタ(竜崎だいち)のニンゲンにどうしても会いたいという気持ち、その理由に対する前フリ部分が弱いので、話の展開がスリリングにならない。この世界で唯一生き残ったニンゲンである純一郎(片岡百萬両)と出会い、彼に抱きしめられた時の驚き。初めて会ったはずなのに、カナタは彼にときめいてしまう。あまりに衰弱していてやつれた存在であるニンゲン。彼はカナタを見て、「ハルカ」と呼び抱きついてくる。ここできちんと感動させたい。だが、それができない。
ニンゲンがいなくなった世界で、ロボットたちだけが、地下で生活していた、という設定は悪くはないし、前半のカナタがニンゲンを探す話と、後半、地上に出て行き人間に就くか、ロボットだけで生きるか、という二手に分かれて戦うという話も、パターンだが悪くはない。構造的には問題はないのだ。このお話の中心にハルカと純一郎のラブストーリーをしっかり据えて、この芝居を時空を越えた恋の物語として、ぶれることなく見せきって欲しかった。ハルカとカナタの関係を通して、作者である竜崎だいちさんは彼女たちの切ない思いを描くはずだったのではないか。
「ロボットがニンゲンに恋をする」(たとえ、彼女がそんなふうにプログラミングされていたとはいえ)という単純だからこそ美しい話はこの手のエンタメとしてストレートで悪くない。後は伝え方、それが上手く機能しないのが惜しい。
芝居自身は、あらゆる面で、これだけきちんと準備できているのだから、あとは見せ方の問題だけなのだ。たくさんの人物を配して、その結果ぐちゃぐちゃしすぎてしまったことが、問題なのだ。せっかくこれだけ多彩なキャラクターを用意したにもかかわらず、ディテールが雑になっているから全体がまとまらない。
だいたい何度も言うが、「カナタの純一郎への屈折した想い」、それさえ伝われば、それだけでこの芝居は成功したはずなのだ。なのに肝心のその部分が上手く伝わらないのがもどかしい。