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映画・演劇のレビュー

ユニット メイ同盟『スナフキンの手紙』

2007-05-20 11:48:47 | 演劇
 圧倒的に古すぎて、もう今の時代には力を持たない台本だ。鴻上尚史は一時代を築いた作家だが、彼の台本は一瞬で古くなってしまう。90年代なら、これは圧倒的に面白く見れたはずだが、こんなにも無意味な内容になってしまっていることに驚く。

 鴻上尚史は高校生が大好きで、HPF(高校演劇祭)でも盛んに取り上げられてきた。『ハッシャバイ』『リレイヤー』とか『天使は瞳を閉じて』なんていったい何度見たことだろう。それらの傑作群はいずれも今という時代には、もう力を持たなくなってしまった。あの頃切実だったものが形骸化してしまう。時代はおそろしいスピードで変化している。

 今回パンフに「語られなかった言葉たちが印象的です」とこの台本に対する感想が書かれてあるが、そこをしっかり捉えて演出できたなら、もう少し意味のあるものになったかもしれない。

 この芝居には台本にあった痛みが、全く掬い取られていない。台本を形通りになぞったところで、なんら意味はない。この長編を立ち上げるだけでも、大変なのは承知の上で、これを取り上げるのなら、せめてその一点だけでも、伝わるように作って欲しい。役者が正面向いて一人芝居するのはどうかと思うし、空間が全く生きてないし、小道具が中途半端(名刺はないのに、電話がある、とか)なのも気になる。それより何より何を伝えたいのか、これではわからない。

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