習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『死にぞこないの青』

2008-12-10 21:43:37 | 映画
 この映画へんだ。だいたい情報誌に載ったスチル(上の写真)を見たときから、おかしいと思った。須賀健太の横にモノクロの女の顔。あれ、谷村美月だ。だけど彼女が凄い顔してる。なんだ、この映画は。最初の感想はそんな感じ。

 タイトルもへん。ストーリーもなんだか、おかしい。いじめられっ子の話のようだ。だが、いじめれれる少年の横になぜか、お化けの谷村が!青と呼ばれる少年にしか見えないそのばけものが彼に囁きかける、らしい。乙一原作。よくわからんけど気になるから劇場に行った。

 やはりへんだ。この映画。ストーリーの不自然さ。誰でもよかったらしいがなぜとてもいじめられそうには見えない須賀健太がいじめられてるのか。よくわからない。大体若い頃の京本正樹みたいな白塗りの嘘臭い二枚目先生が、健太くんばかりを目の敵にするのだが、須賀健太なら喧嘩したら勝てそうに見える。こいつはわざと演技で反抗しないだけにしか見えない。

 そこに、谷村美月!だ。両手は交錯させて服のなかにいれたまま縛られているよう、片目が潰れていて、口が耳のところまで裂けている。青い顔して、モノクロで。こんなのが横におったらほんま怖いだろう。だが、須賀健太なら大丈夫。このばけものの名前がアオ。須賀健太はマサオ。なんだか意味ありげなネーミング。でもそこには映画は何も触れない。

 明らか須賀健太より弱そうないじめっこが彼を襲う。ピンチだ!健太!だが、なんだか緊張感がない。やはり演技にしか見えない。健太は一応「やめてよ」とか言うけど全然心がこもってない。

 そして、そのうちだんだん谷村のメイクが変わってくる。少しずつ普通になる。ずっと同じなら飽きるからだろうか。「慣れてきた」ということを象徴させたのか?まぁ、そういうわけではない。当然。健太が強くなってきたかららしいが、こいつは最初から強いからそういうのは嘘くさい。そして、最後にはお決まりの展開でかわいい美月ちゃんになる。

 これはいったい何の映画なのだろう。見ながら作者の意図とはまるで関係ないことばかりを考えてしまう。安達正軌監督はオムニバス『ZOO』の『セブンズ・ルーム』でデビューした人。今回が初の長編。前作に引き続き乙一の映画化。前作もなんかへんな映画だった。誘拐されてきた女たちが隔離され7つの部屋に入れられていて、それぞれの部屋が下水でつながってる。そこは子どもしか行き来出来ない。主人公の弟が各部屋を移動していく。そして、徐々に女たちはいなくなる。誰がなんのために。ってな感じの話だった。これもありきたりのオチはあるが、そこまでの展開がへん。今回も同じだ。この監督ただのへんな人かもしれない。これからの活躍が楽しみだ。

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