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映画・演劇のレビュー

滝口悠生『ラーメンカレー』

2023-05-22 08:34:00 | その他

ロンドンに友人の結婚式に行く夫婦。ついでにペルージャの妻の旧友のところにも行き、2日間を過ごした3年前の旅を思う。お話は結婚式ではなく、この「ついでに」のペルージャの旅を描く5つの短編連作。

これが前半だが、繋がっているから5つでひとつの中編小説。夫の視点からのエピソードと妻の視点からのエピソードが交互に描かれる。内容は先に書いたが結婚式の話ではなく、旅の後半、ペルージャ行きの旅の話。しかも、小説の後半(作品全体の、ね)はその旅の結婚式に一緒に行った窓目くんの5つの手記が続く。だから合計10話の長編小説か。こんなタイトルだけど、最近よく読んでいる食の小説ではない。旅の小説だ。

 妻は友人と19.20歳の頃から15年を経て再会する。それに夫は付き合うたった二日間の話だ。その旅をコロナ禍になった今(3年後)思い出す。

後半の窓目くんの恋の話も3年後から回想される。ロンドンでの結婚式で出会ったシルビィとの短い恋は彼のこれまでの全人生の恋と並行して語られる。ひとりで行くことになった北海道、ようやく再会したロンドンでの大晦日から新年。(たった二日で別れることになったけど)こちらも5つのエピソードの中編小説。

だから結果的にふたつの小説なのだ。タイトルの『ラーメンカレー』は窓目くんの話の第二話のタイトル。必ずしも全体を象徴しないけど、まぁいい。

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