習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『くもりときどきミートボール』

2010-01-09 19:54:51 | 映画
 こういうどうってことないアニメーションを暇だから見たら、なんと、これがなかなか楽しくて、満足した。

 というか、「どうってことない」という言い方はこの映画に対して失礼だろう。これはかなり良く出来た映画だ。最初から最後まで夢中で見てしまった、というのが事実だ。機内上映で見たのだが、飛行機の中での暇つぶしのはずが、モニターから目が離せなかった。日本では昨年9月に地味に公開されていたが、(しかも3D上映されていたが)台湾ではこの1月から公開されるので、今、宣伝中だった。なんだか、得した気分で見る。もちろん大スクリーンで見たならもっと楽しめたはずだがそれはしかたない。

 前半の話がいい。主人公の男の子は、こどもの頃から発明家になろうと夢見て、いろんなことにチャレンジするのだが、詰めが甘く失敗ばかりする。お母さんは彼の才能を信じるが、お父さんは釣具屋を継がせようとする。平凡でいいから堅実に生きて欲しいと願う。成人しても彼の変人ぶりは変わらない。町中からバカにされているが全然ひるまない。我が道を行く、である。母は死に、今では、父と2人暮らし。ある日彼がいつものように実験を繰り広げていると、思わぬトラブルから、思いもかけない出来事が起きる。

 主人公のキャラクターが上手く描かれてあるから、感情移入しやすい。もちろんよくあるボーイ・ミーツ・ガールものにもなっていて、恋人になるお天気おねえさんの女の子も素敵だ。変人同士が、カップルになりお互いを必要としていく、という定番の展開も心地よい。

 彼らが暮らす町の設定もいい。暗くて時代から取り残された町。でも、人々は懸命にここで生きている。話自体の基本設定が上手いから後半の怒濤の展開も生きてくる。ただの荒唐無稽にはならないのだ。

 そして、何よりもまず、空からいろんな食べ物が降ってくる、というアイデアがすばらしい。(まぁ、これは子どもが夢見る定番だが、目の付けどころがいい)それをうまく生かしたチャーミングな映画に仕上がっている。3Dとしては、ありきたりの視覚効果しか用意されていないが、話がよく出来ているからこれで充分だろう。なんだか幸せな気分にさせられる小品だ。こんな映画がひっそりと上映されていたんだなぁ、と改めて感心させられた。どこのどんあ映画が隠れているかわからない。だから、おもしろい。

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