こういうバカバカしい映画は劇場で見るに限る。イベント映画なのだ。だからTVで見ても迫力は伝わらない。それにお話なんかどうでもいい。ただただありえないようなスタントを大スクリーンで見たいと思う。それだけ。
これでなんと10作目になる。そして今回が完結編という評判だった。これまで何度となく映画館で予告編を見せつけられてきた。(うんざりするほどに)でも確かにこれは「すごい迫力だ!」と圧倒された。ありえないようなカースタントを見せてくれる。もちろんCGなのだろうけど、そこには実写ならではの迫力を感じた。それはこの夏公開のトム・クルーズ『ミッション・インポッシブル』の新作予告編を初めて見た時に比肩するほどの出来だ。(ということは、やはりトムさまが世界一!)
それにしてもハリウッドは最近前後編とかシリーズとかばかりだ。この『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』も完結編と言いながら、続編があるらしい。というか、明らかにお話は終わらないで途中で終わるのだ。
後で調べるとなんとこの完結編は3部作として製作されているらしい。全然完結ではないじゃないか。これは終わる終わる詐欺だ。トム・クルーズの映画もシリーズものなのに、今回は「PART1」と銘打たれているから当然この後すぐにPART2が公開する。2本撮りで撮影しているのだろう。なんか、嫌。それって映画なのにTVシリーズのようだから。『スターウォーズ』以降(ということは、もう50年になるのか)こういうのが横行するけど最近ますます顕著だ。日本映画の『劇場版』というのも嫌いだが、ハリウッドの「シリーズもの」にも閉口させられる。ヒット作で稼ごうという商売っ気たっぷりな姿勢は映画にはなじまない。
さて、映画本編である。相変わらず2時間20分もある。長い。見せ場はてんこ盛りでサービス精神は旺盛なのだが、もう少しコンパクトに作ってもいいのではないか。さすがにダレる。盛りだくさんのお話はたいした話じゃないのに結構複雑でよくわからない。(やたら登場人物が多すぎて、その人間関係がわかりづらいからだ。シリーズものだから先の9作を踏まえているので、関係性が複雑になる。しかも多彩すぎて覚えきれないから誰が誰だか顔の区別もつかなくなる始末)
冒頭の金庫(ではなくその部屋ごと)を奪うのには度肝を抜かれる。掴みは最高。さらに前半のハイライトとなるローマでのカーチェイスも凄い。終盤のヘリコプターを使った派手なスタントからラストのダムのところに追い詰められた後の脱出もなんだかあまりのことで無茶苦茶だが、確かに驚かされる。
だが、見終えた時に残るのは疲労感だけだ。ここ数作はいつもこんな感じ。同じようなお話で、確かに凄いカースタントなのだが、疲れる。正直言って僕はもう飽きたから、見るのはこれで終わりにするね。