いまおかしんじ監督の2022年作品。ほんとうに彼はいろんな映画をどんどん作っているのだな、と感心する。低予算で、エロからこういう青春映画まで、なんでもあり。フットワークも軽く。昔の(今も?)ピンク映画と同様の数日の撮影で1本の長編映画を仕立てて公開する。
冒頭なんと42分の長回しには驚く。チープだけど圧巻。こんな無意味でバカなことをする。その後、メインタイトルが出て、後半は普通にカット割りしているし。
お話自体はたわいないというか、無茶苦茶。黒子のコンビニとか、縄で縛られていたオッサンとか、自主映画でもしない展開。無理からの長回し。後半も杜撰な展開を繰り返していく。井の頭恩賜公園でのボート乗り場でのお話も、それはないというような安直さ。もちろんわかってやっているから受け入れるしかない。ラストのハッピーエンドも無理から。みんながやって来て祝福するシーンも。
死んでしまった友人の葬儀に参列した帰りの橋の上から始まり、神田川の横の歩道をどんどん遡る。源流まで行き着く。といっても井の頭恩賜公園だけど。深い意味はまるでない。思いつきで作ったような映画。
こんな映画がちゃんと劇場で公開されるのが今の日本である。溢れ返るくらいの新作映画がどんどん消費されていく。劇場だけでも満腹なのに配信ではもうパンクするくらいの膨大な映画が溢れている。幸せだと思っていたが、最近は食傷気味。
これを見ながら、いまおかしんじは本当にこれを撮りたかったのか、と疑問に思う。70年代にたった2本の映画を撮ってから40年以上映画を撮れないまま老いていった長谷川和彦監督は今どうしているのか、な。こんな時代に彼は何を思うのか。そんなまるで関係ないことを思う。