習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『幸せのちから』

2007-08-31 17:19:29 | 映画
 こういうヒューマン映画は嫌いではないが、見ていてイライラさせられる。子供を抱えて必死に生きているウイル・スミスの奮闘振りと健気な子供の姿を見ていると、涙さそうのだろう。ラストではハッピーエンドになり、よかったね、と思う。頑張ったから上手く行けたんだね、なんて。だけど、それが何だと言うのだろうか?

 悪い映画ではもちろんないのだ。しかし、この映画を見て何を思えばいいのか、僕にはよく分からない。実はこの映画に対して書くべき事がないから、パスしようか、と思っていた。基本的には劇場で見た映画はすべて何らかの感想を書く方針なのだが、(もちろん何の感想も持たなかったり、悪口しかかけないものは書かないが)これについては悪い映画ではないのに何も書けない。

 テンポよく、描かれており2時間退屈することもない。しかし、この作者(監督)が何を言いたくてこの映画を作ったのかが分からないのだ。妻に逃げられ子供と二人住む家もないまま生きていく、なんて。子供が可哀想ではないか。こんな状態なら子供は妻に預けるべきではないか。自分のエゴを子供に押し付け、こんなに頑張っているから分かってほしい、なんて、それはない。

 成功したから、いいようなもののこれで失敗していたなら、どうなるのだろうか。(まぁ、それなら映画にはなりません。新聞記事にならなるかも)子供が可愛くいじらしいから、それを見ているだけでも、女の人なら母性本能をくすぐられる映画なのかも、しれない。でも、そんな映画本当は見たくもない。

 結局書き始めたなら、この映画を腐すことしか書けない。この映画でイタリアからハリウッドデビューしたガブリエル・ムッチーノの本音が聞きたい。「あんたはこの映画がホントに撮りたかったのか?」それとも、ハリウッド映画を撮ることが望みだっただけなのか?

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