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映画・演劇のレビュー

ジャブジャブサーキット『さよならウイキペディア』

2015-07-04 07:08:20 | 演劇

今回のジャブジャブは軽い。この軽やかさは、悪くない。重い問題を扱うから、敢えてこういうスタンスで臨んだのだろう。町中のごみごみしたビルの立ち並ぶ一角、その屋上が舞台だ。6階建てのビルの屋上が、隣の同じ高さのビルとつながっている。というか、つながってなんかなかったのに、つなげたようなのだ。こんなことしていいわけがない。危険だし、警察とか、消防に見つかれば、大目玉を食らうのではないか。(でも、捜査に来た刑事たちは何も言わなかったから、大丈夫なのか?)隣り合うビルの屋上を自由に通り抜け出来るようにしてある。隣のビルの住人がここに洗濯物を干しに来る。隣のビルに最上階とこの屋上がつながってある。(ということは、隣は7階建て?)

こんなどうでもいいことに、拘っていてもらちはあかない。そんなことより、こんな狭い屋上に人がどんどんやってくる。そんな芝居だ。というか、そんなことより、ここはウイングの屋上を想定したのではないか。この芝居は冗談のように、ウイングの屋上をウイングの舞台に作っているのだ。こんな冗談のような芝居を楽しそうにはせさんは作る。

お話のほうもなんだか、バカバカしい。宇宙人が出てきて、彼らが自分たちの星に帰るために、宇宙船のキットをこの屋上に送ってもらう。そんなのありですか? 天からその部品となるものが落ちてきて、屋上に突き刺さる。それはないわぁ。突き刺さったそれはモノリス(『2001年宇宙の旅』のあれ、ね)みたいで、地球の文字ではない文字がその板(モノリスですからね)一面には書かれてある。で、宇宙の人は喜んでそれを引き抜いて組み立てるみたいです。

狭いビルとビルとの狭間に落下して死ぬ。自殺なのか、他殺なのか。刑事が事情聴取にやってくる。ここには、先に死んだ人たちが幽霊となってやってくる。

登校拒否の高校生の女の子。彼女はここにスケッチにくる。彼女のクラスメートがこの隣のビルの住人で、担任教師が家庭訪問に訪れる。その先生が自殺して、屋上から落下したのだ。ラインによるいじめ、とか。

そこで、タイトルのウイキペディアのお話になるのだけど、お話はそれだけではない。いろんな人たちが入り乱れて、そんなこんなに混沌としたものが、この狭い空間でごっちゃになり、なんだかわけがわからないままに、お話があれよあれよという間に展開していき、一件落着?

本当はこんないいかげんなストーリーではないようなのだけど、書いているうちにこういうことになってしまった。ごめんなさい。ちゃんとした人から聞いてください。(だいたい主人公であるはしぐちしんさん演じる男にはまるで触れてないし。)

いろんなことをてんこ盛りにした芝居なのだ。ミステリあり、ファンタジーあり、シリアスあり、社会問題も加味して。都会のかたすみで、さまざまな人たちの悲喜こもごものドラマが錯綜し、なんだか知らないけど、不思議な人情ドラマが展開する。それをなんとなく、目撃した、そんな感じ。覗き見するようなちょっといやらしい快感がある。僕はそんな風に受け止めた。

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