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映画・演劇のレビュー

evkk『女優ものがたり』

2018-07-19 20:33:04 | 演劇

今度の外輪さんはなんと30年前に書かれた小野小町による小さな芝居を再演する。小劇場演劇が華やかかりし頃、こういうタイプの芝居がたくさん作られていた。よくわからないと今の人は拒絶するかもしれない。感覚的だから、理屈で読み込もうとすると突き離されてしまう。理屈なんか通らないのがお芝居なのだ。なんだかよくわからないけど、圧倒されたなら、それだけでいい。もちろん理屈をこねまわしたってかまわない。ここには意味がないわけではないのだから。それどころか、いろんな意味が込められてあることは、一目瞭然だ。

タイトルの「女優」。ふたりの少女。そこから始まる。少女の暴走。何を演じたか。15歳が見た現実が、綿を敷き詰めた真っ白の空間に展開する。自分探しなんていう言葉で括るとなんでもありになるのだけど、少女とポチ(犬)が、失われた日記を探すと、そこには自分の知らない出来事が書かれてあり、もうひとりの少女とともに、母親にたどり着く。

 

今、こういう芝居がどれだけの力を持つのか。この作品を見ながら、懐かしいな、と感慨に耽るのは僕たち50代だけなのか。これを見た10代、20代の感想が聞きたい。切実なドラマとして見るわけではなかろう。だけど、ただわからない、で済ますことはできないだろう。きっとどこかに引っかかって、それが心に残るはず。それが芝居なんだ、ということに気づいたならいい。


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