3つの短編が組み合わさってひとつの物語になる短編連作。25分、30分、35分と少しずつ長くなる3作品3人の女性。最後にそれぞれのエピソードのその後が(3つが絡まる形で)提示される。別々のストーリーだったはずなのに、微妙に重なり合うけどそんなことどうでもいい。この同じ世界で生きている以上常に世界中の誰かとつながっている可能性がある。その程度の関わりである。でも、そんな淡さがなんだかうれしい。自分はいつだってひとりではない。
3つのお話の3人の女たちはそれぞれある他者と関わりを持つ。その他者を通して自分を見つめていくことになる。その他者は3人にとって困った人であり、救いの神ともなる。人間なんてみんなそれぞれそんなものだし、基本的にこの映画はそんな6人だけの話である。もちろん周辺には彼女たち以外にも、他者はいる。でもそれは風景と同じであまり関係ない。それが夫であろうとも。説明はほとんどない。目の前の出来事だけを追う。でも、この緊張感はただごとではない。一瞬もスクリーンから目が離せない。(DVDなのでTVだけど)
この映画の中で彼女たちが今見ているのは目の前のひとりだけ。そしてその目の前の1人を通して3人は一つの選択をしていく。変わっていく。とはいいつつも、この映画の圧倒的な風景は時には人間よりも雄弁で、それが彼女たちの心を描いている。環境と人との関わりをこんなにもシンプルに提示して人の心の核心に迫る。これはそんな希有な映画である。