出産を巡る5人の女たちのそれぞれの想いが描かれていく短編連作。一応タイトルにもなっている『だれが産むか』という女性雑誌の連載ルポを書いているフリーライターを狂言回しの主人公にしてあるのだが、彼女を嫌な女として設定したので、感情移入は出来ない。もちろんわざとそうしている。35歳で、不倫をしていて、普通に結婚し、子供を産んで育てる女性に対して見下すようなところがある。それはやっかみ半分かもしれない。
彼女が関わる(取材する)女たちに対しても、彼女は見下したようなスタンスを保ち続ける。そこにこの女のプライドがあり、自分はそんなつまらない女ではない、と思いたいのだろう。でもあきらかに彼女のほうがくだらない。彼女だけではなくここに出てくる女たちは全肯定出来ない女たちばかりだ。そこがこの小説の魅力である。かといって、この女たちが嫌な奴らだ、というのではない。それどころか、彼女たちは懸命に生きている。自分の置かれている困難な状況と戦い、とてもけなげに頑張っている。この小説が面白いのは、そんなスタンスゆえである。なんともパターンの域をでないお話ばかりだが、このシニカルで、でも優しい視線ゆえ、最後まで読ませる力を持った。
彼女が関わる(取材する)女たちに対しても、彼女は見下したようなスタンスを保ち続ける。そこにこの女のプライドがあり、自分はそんなつまらない女ではない、と思いたいのだろう。でもあきらかに彼女のほうがくだらない。彼女だけではなくここに出てくる女たちは全肯定出来ない女たちばかりだ。そこがこの小説の魅力である。かといって、この女たちが嫌な奴らだ、というのではない。それどころか、彼女たちは懸命に生きている。自分の置かれている困難な状況と戦い、とてもけなげに頑張っている。この小説が面白いのは、そんなスタンスゆえである。なんともパターンの域をでないお話ばかりだが、このシニカルで、でも優しい視線ゆえ、最後まで読ませる力を持った。